液晶大手のジャパンディスプレイ(JDI)が経営再建に向けた土俵際に立っている。15日発表した2018年3月期の連結決算は最終損益が2472億円の赤字(前の期は316億円の赤字)と、過去最大の赤字を計上した。19年3月期は黒字転換を見込むが、中韓勢との競争が厳しく、経営再建の道筋は依然不透明だ。

「構造改革で利益を出せる体質の会社に変える」。東入来信博会長兼最高経営責任者(CEO)は同日開いた記者会見で、過去最大の赤字の意義を強調した。赤字の主因は構造改革費用。生産設備や在庫の減損損失など1437億円にのぼった。

 ただ4期連続の最終赤字の結果、損失に対応するクッションの役割を果たす純資産は4月の増資を加えても1170億円まで減少。安全性を示す自己資本比率は17.8%まで低下している。



 より深刻なのは、現金を生み出す力の低下だ。主要顧客の米アップルが17年秋発売のiPhoneX(テン)に有機ELパネルを採用したため、同社の液晶の販売が減少。本業による現金創出力を示す営業キャッシュフローは前期、7億円のマイナス(前の期は1120億円のプラス)に転じた。前期は会計上、本業で現金を生み出せず、銀行などに資金繰りを頼らざるを得なかった。

 JDIは今期の売上高が前期比10~20%増、売上高営業利益率が2~3%になるとの見通しを示した。特に「下期に大幅な増収を見込む」(大島隆宣最高財務責任者)。期待するのが、アップルが秋に発売を予定する次期iPhoneだ。「液晶モデルの出荷台数が有機ELモデルを上回りそうだ」(英調査会社IHSマークイット)との見方から、市場では、「JDIが恩恵を受ける」との声が出る。

 とはいえ足元では技術力を向上させた中国パネルメーカーとの競争が激化している。JDIの売上高に占める中国モバイル端末向けの割合は1~3月に11%と、前年同期に比べ18ポイント下がった。

 中国のスマートフォン(スマホ)市場の需要減速に加えて、中国パネルメーカーとの競争が激しくなっているためだ。「中国の高級スマホ向けパネルはアップル向けと比べて利益率が高い」(みずほ証券の中根康夫氏)だけに、JDIにとっては打撃が大きい。

 米中の貿易摩擦もリスクだ。米商務省は中国通信機器大手、中興通訊(ZTE)に米国企業との取引を7年間禁じる制裁を科し、ZTEはスマホの販売停止に追い込まれた。ZTEのJDIの売り上げへの影響は「数十億円」(東入来会長)。米国による取引停止が華為技術(ファーウェイ)など他のメーカーに広がれば影響は格段に大きくなる。