ジャパンディスプレイ(JDI)は15日、月崎義幸副社長(58)が社長に昇格する人事を正式発表した。有賀修二社長(59)は技術顧問に就く。2019年3月期の最終黒字転換の目標に向け、新体制で車載向けを強化し、スマートフォン(スマホ)依存の収益体質からの脱却を図る。

 12年の発足後、月崎氏は6年間で3人目の社長となる。JDIはトップ人事が迷走してきた。17年5月には、いったん発表した社長人事を2カ月で撤回した。社長になるはずだった東入来氏は会長になり、有賀修二社長が一転続投となった。



 月崎氏は3月まで車載部門のトップを務め、る欧州自動車部品メーカーなどとの交渉で手腕を発揮してきた。メーター向けなどJDIの車載売上高は18年3月期に初めて1000億円を突破した。英調査会社のIHSマークイットによると世界シェアは首位だ。

 JDIは売上高の8割をモバイル端末向けが占め、スマホに業績を振り回されてきた。収益基盤を固めるには安定した収益を稼げる車載分野の拡大が急務だ。

 有機EL事業も課題となる。JDIは有機ELパネル量産に向け中国企業などとの資本提携を模索してきたが、条件交渉が難航。18年3月としていた期限を先送りしている。東入来会長は「有機ELに対する風向きが変わったため、海外パートナーとの量産投資はじっくりと市場を見た上で判断する」とトーンを弱めた。