液晶パネルの価格下落が止まらず、ディスプレー各社の収益が急速に悪化している。テレビ用液晶パネルの価格は「5月に過去最低を記録」(調査会社IHS Markitの謝勤益氏)し、韓国のLGディスプレー(LGD)の2018年1~3月期業績は12年1~3月期以来6年ぶりの営業赤字に陥った。現状ではパネル価格が反転する材料に乏しく、18年はディスプレー各社の大半が赤字に転落しそうだ。

 18年は、当初からディスプレー各社の収益が17年に比べて低下すると想定されていたが、それでも春先から価格が下げ止まるのではという期待があった。その理由が、2月に開催された平昌冬季オリンピックや6月に開幕するサッカーW杯といった世界的なスポーツイベントによるテレビ需要の増加、中国の春節および労働節向け需要に伴う在庫調整の終息であった。



 しかし、これまでのところ、前記のような思惑が大きく外れた市況になっている。台湾のAUOは18年1~3月期の決算カンファレンスで「17年の年末商戦と中国の春節向けセールスは想定を下回った」とコメント。前出の謝勤益氏も「かつては世界的なスポーツイベントでテレビ需要が盛り上がったが、今年はなかった」と、平昌冬季オリンピック商戦は不発だったと分析する。また、労働節向けについてAUOは「労働節前後の2週間の売り上げ成長率は前年比でマイナスになる見通し」と述べ、在庫を消化するペースに加速がつくとの期待感を示すにとどまった。

今後もテレビ用液晶パネルの価格反転が見込みづらい理由の1つが、中国BOEが安徽省合肥市で17年末に稼働させた第10.5世代(10.5G)新工場だ。BOEの合肥10.5G工場は世界で初めて、マザーガラスに10.5Gと呼ばれる2940×3370mmサイズを採用した。世界初のサイズを用いるため、当初は稼働率の向上にかなり時間を要するのではとみられていたが、これまでのところ順調に稼働率を向上させている。

 10.5Gからは65インチが一度に8枚取れるため他社に比べて価格競争力が高く、さらにマザーガラスの投入枚数を増やして稼働率を引き上げれば、供給過剰をさらに深刻化させ、パネル価格のさらなる下落を招くことにつながりかねない。

価格に反転の兆しが見えなければ、ディスプレー各社は工場稼働率の調整だけでなく、価格競争力が低下したマザーガラスの小さい旧ラインのシャットダウンや、新工場建設計画の延期といった対策に踏み込まなければならなくなる可能性も出てきた。