01sharp_2 シャープは2018年中にも北米市場に自社製の液晶テレビを投入する方針だ。経営危機下の16年に中国電機大手の海信集団(ハイセンス)に米州での商標権を供与したため空白となっていた。高精細の「8K」など高付加価値品に限りブランドを使えるようハイセンス側と調整中。中国に次ぐ世界2位市場への再参入でテレビ販売の復調基調を維持したい考えだ。

 8Kのほか55型を超える大型テレビなどを販売する方向でハイセンス側と最終的な協議を進めている。中小型の量販モデルについては引き続きハイセンス側が手掛ける。

 北米市場からいったん撤退したシャープの方針転換には、親会社である鴻海精密工業の戦略が大きく影響している。鴻海は米ウィスコンシン州にパネル段階からの液晶テレビ一貫生産工場を建てる計画だ。28日に予定するくわ入れ式には製造業の国内回帰を訴えるトランプ米大統領も招いた。鴻海の郭台銘董事長はトランプ大統領の就任後、他社に先駆けて米工場の新設を打ち出すなど蜜月関係にある。



 シャープの8Kテレビは鴻海の次世代戦略の核となる商材の1つだ。昨夏に新工場を発表した際、郭董事長は「鴻海とシャープは最も先進的な8Kエコシステムの製造業を米国に築いていく」と言及した。シャープは鴻海の米新工場稼働を見越して北米に再参入し、市場開拓やブランド力の回復に取り組む。稼働後は現地から米国内に供給する予定だ。

 シャープは15年に北米でのテレビ事業からの撤退を決め、16年から5年間の契約で「シャープ」や「アクオス」といった商標の使用権をハイセンスに供与した。だが、16年に鴻海傘下に入ると戦略を転換し商標権の買い戻しに動いた。17年春以降は特許侵害などを理由にハイセンスを米連邦裁判所に提訴するなど一時は事態が泥沼化した。

 17年末頃にシャープ側が全ての訴えを取り下げたことで再参入に向けた交渉が進んだ。ハイセンスが2月末に東芝のテレビ事業を買収したことも態度を軟化させた一因となったもようだ。

 17年度のシャープの液晶テレビ販売は1千万台超と前年度に比べ倍増した。欧州への再参入や中国での伸びがけん引した。鴻海の調達網を活用したコスト削減も寄与し、4期ぶりに連結最終損益が黒字転換する原動力となった。英調査会社IHSマークイットによると北米の薄型テレビ市場は18年の出荷見込みで約4300万台と中国に次ぐ規模だ。再参入でさらに販売を上積みし、収益基盤を固める狙いだ。