スマートフォンの意匠にかかわる知的財産権侵害をめぐって法廷係争を続けてきた米アップルと韓国サムスン電子が和解した。27日付でカリフォルニア州サンノゼの地裁に通知した。両社の争いでは5月にサンノゼ地裁がサムスンに賠償金支払いを命じており、趨勢は決していた。世界が注目した時期もある2社の争いはスマホ市場が成熟するなかで、7年を経て終焉(しゅうえん)を迎えた。

 両社の係争は故スティーブ・ジョブズ氏が存命だった11年4月に、アップルがサムスンのスマホ「ギャラクシー」のデザインが自社の権利を侵害していると米国で提訴したのが始まりだ。サムスンが日本や韓国などで訴え返したことで、係争の場は10カ国に拡大。スマホ市場が急成長していた時期でもあり、衆目を集めることになった。



 米IDCによれば11年の世界のスマホ出荷台数は年5億台弱。当時は「iPhone」で先行したアップルを、グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載したサムスンが猛烈に追い上げて首位を争う構図だった。12~14年にかけて和解に向けた動きも時折報じられていたが、合意には至らず、泥沼の争いが続いた。

 前進が見られたのは、両社が米国以外での訴訟を取り下げることで合意した14年8月だ。スマホ市場は同年に13億台に達する一方で、華為技術(ファーウェイ)や小米といった中国勢が着実にシェアを拡大。2社で争っている時代ではなくなりつつあった。裁判にかかる費用などを考えても世界中で訴訟を続ける意味合いは薄れていた。

 アップルのお膝元である米国での訴訟はその後も続いたが、もはや「信念」の戦いだったといえる。5月にサンノゼの地裁陪審がサムスンに損害賠償として5億3900万ドル(590億円)を支払うよう求めた際、アップルは「この係争は常にお金以上の意味があった」とコメント。「サムスンは明確に我々のデザインをまねていた。アップルで働く人たちの懸命な仕事と革新を守り続ける」とし、判決を歓迎している。

 スマホ市場を取り巻く環境は14年からさらに変化している。17年は世界の出荷台数が14億6500万台と初めて減少に転じ、今年もマイナス成長が続く見通しだ。アップルにとってスマホはいまなお売り上げの6~7割を占める稼ぎ頭だが、課金サービスや腕時計型端末といったかつてはなかった収益源も広がっている。

 アップルとサムスンは和解に関してコメントしていない。