実に7年の歳月が費やされた。アップルとサムスンの携帯電話の特許侵害をめぐる戦いがついに終結したのだ。この大手携帯電話メーカー2社は2011年以来、自社製品の主要部分の特許をめぐって争ってきた。

その範囲は、ワイヤレス機能から、ユーザーがiPhone上で画面の範囲を超えてスクロールした際に画面をはね戻す「ラバーバンディング」機能にまで及んだ。 この特許紛争についてカリフォルニア州裁判所は、両社が和解に達したとして訴訟の終結を6月27日(米国時間)に宣言した。 長期にわたった争いは、米国のほぼあらゆるレヴェルの裁判所に広がり、さらに世界中に広がっていた。

この争いは、アップルが自社の特許と「トレードドレス」(デザインの諸要素。「四つ角が丸い長方形の形」をサムスンが剽窃したというアップルによる最初の主張も含まれる)をサムスンが侵害したと主張したことから始まった。



当初、裁判官はその主張を認め、サムスンに対して損害賠償として10億ドルをアップルに支払うよう命じた。これが、訴訟が訴訟を呼ぶ長い戦いの引き金となり、今回の判決に至るまで続いたのだ。この争いは一体何だったのだろうか?

携帯電話を手に持ったとき、あなたが手にしているのは数百万時間におよぶ作業の成果であり、多数の企業に登録された何十万もの特許でもある。「携帯電話の中にある特許の数は膨大で、誰も数えることはできません」と、ブログ「FOSS Patents」の開設者で知的財産活動家のフロリアン・ミューラーは説明する。特許を数え上げるには、携帯電話の特許だけではなく、数十万〜数百万ものソフトウェアの特許も調べなくてはならないのだ。

サムスン、アップル、IBMのような大手テクノロジー企業の特許登録数は、年間で最大5,000件にも及ぶ。これはエンジニアたちが「すさまじい速度」で特許を申請することで可能となっているのだとAsymcoの携帯電話アナリストであるホーレス・デディウは指摘する。「IBMは本気で特許申請を行っています。彼らは実に膨大な数の特許を蓄えているのです」

アップルだけで75,000件以上の特許を所有しているが、2017年から数えるだけでさらに2,200件以上の特許を申請している。サムスンは過去18カ月で1万件以上の特許を申請し、累計120万の特許を所有しているという。

「携帯の中にある途方もない特許の数は、特許取得のハードルが低すぎることを示しているのだと個人的には思います」とミューラーは言う。あらゆる特許取得にはもっと十分な手間がかけられるべきなのだ。

しかし重要なのは、特許は単に人々の発明を保護するのに役立つだけではないということである。特許は金を稼ぐ道具でもあるのだ。「特許は常に取引されている通貨の一種なのです」とデディウは説明する。つまり特許は売買されるのだ。

特許とは、非常に競争の激しい業界でライヴァルに対抗するために用いられる道具だ。「特許を取得していれば、ほかの人がその知的財産を含む製品を出荷できないようにすることができます」とデディウは言う。「通常、権利は完全に特許権者が所有するため、それを侵害した製品は市場から回収されてしまうのです」

競争を妨げるための特許の濫用はめったに起きないが、しかしとてつもなく膨大な特許の数によってイノヴェイションが阻害される可能性はある。ミューラーはこれを「特許の錯綜」と呼ぶ。企業が新たなデヴァイスや技術を開発してから、それが実用化できないと知ることもある。「あまりにも多くの特許が存在するので、事後的に特許の侵害がみつかることは避けられません」とミューラーは言う。「これは業界にとって重大な問題です」

特許は人々がテクノロジー業界において、知れ渡った有名企業と激しく争うことを阻止する抑止力としても使用されうる。そして、これが気がかりな状況であるということについて、デディウとミューラー両者の意見は一致している。

「特許は軍拡競争となり始めています」とデディウは懸念している。「競合他社が同じビジネスをしている場合、相手と大切な話し合いをするか、さもなくば相互確証破壊を行うことになってしまうのですから」