スマートフォンのディスプレーパネルは、液晶から有機ELへと急速に入れ替わる──。米アップルが昨年発売した「iPhone X(テン)」への有機EL採用が決まってから業界が期待したシナリオが、早くも崩れつつある。
最大の誤算は、市場拡大の起爆剤と期待されたiPhone Xの販売不振だ。取引メーカー関係者によれば、今年1〜3月の生産台数は計画の半分程度。不振の原因は、11万円超(税別国内価格、一括払いの場合)という従来モデルよりも割高な価格が支持されなかった点にある。
価格を押し上げたのは、韓国サムスン電子が独占供給する有機ELパネルだ。当初の調達価格は1枚当たり約110ドル(約1.2万円。液晶モデル「8 Plus」の2倍超)で、本体コストの約3割を占める。


サムスン自身が販売するスマホのほか、ファーウェイやオッポなど中国勢の有機EL搭載モデルも価格がネックとなり需要が伸びず、パネルは供給過多だ。英調査会社IHSマークイットも、直近の市場減速を織り込み、2020年時点の中小型パネル市場規模予測を、740億ドル(約8.2兆円)から540億ドル(約6兆円)へと大きく下方修正した。
こうした状況を受け、サムスンは2018年度の有機EL投資の抑制に動いている。液晶パネル生産から転用した工場の立ち上げを遅らせ、建設計画を発表していた新工場は投資が凍結されたままだ。
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