韓国サムスン電子は米アップルに対し2018年4~6月期にスマートフォン(スマホ)向け有機ELパネルを600万枚程度供給した。1~3月の供給(2000万枚弱)の半分以下の水準になる。サムスンはアップルの高級スマホ「iPhoneX(テン)」に有機ELを独占供給しているが、18年上半期の採算は厳しかったもようだ。

 事情に詳しい関係者が明らかにした。アップルが1日(日本時間)に発表した4~6月期の連結純利益は、前年同期比32%増と好調だった。サムスンのパネル供給量を見る限り、アップルのスマホの伸びは「X(テン)」より「iPhone8、8プラス」の貢献が大きかったとみられる。



 アップルへの4~6月の供給を巡っては春ごろまで1200万~1500万枚との見方があった。サムスンが7月31日に発表した18年4~6月期のディスプレー部門の営業利益は前年同期より92%減った。市況悪化でテレビ向け液晶パネルが赤字に転落したのに加え、有機ELパネルも需要増をにらんだ設備投資の減価償却費が重荷になった。

 サムスン幹部はディスプレー事業に関して「テレビ向けパネルは中国メーカーとの競争で厳しい環境にある」と指摘。その上で「量より質を重視した競争力の強化に取り組む」と語り、有機ELパネルへの傾斜を一段と強める方針を示した。

 一方、下半期についてはアップルが年内に発売するとみられる新機種への期待感から、サムスンの有機EL供給が急回復するとの観測もある。

 同社は早ければ来週に韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の要請に応える形で大規模な投資計画を発表する見通し。ディスプレー事業を投資の対象に含める可能性が高く、計画の中身が注目される。