テレビに使う大型液晶パネル価格が上昇した。テレビの値下がりに伴いパネルの需要が上向きに転じているほか、年末商戦向けの調達が本格化している。パネルメーカーによる生産調整もあり、在庫の過剰感が薄れてきた。店頭でのテレビの値下がりペースが鈍る可能性もある。

テレビ向けで指標品となるオープンセル(バックライトなどがつかない半製品)の32型の7月の大口価格は前月と比べ11%高い1枚50ドル前後で決まった。値上がりはパネルメーカーが生産調整を進めていた2016年10月以来、1年9カ月ぶりとなる。同42型は2%高の1枚83ドル。49型も1枚114ドル前後と2%上がった。55型は1枚152ドル前後と横ばいだった。



 テレビ向け液晶パネルは中国メーカーの量産やテレビ需要の伸び悩みを受け、6月まで下落が続いていた。4~6月の価格は「採算割れの水準まで下がっていた」(電子部品商社)。パネルの値下がりを受けメーカーの収益は悪化。韓国LGディスプレーの4~6月期の連結決算は営業損益が2280億ウォン(約220億円)の赤字だった。

 ただ足元では「パネル価格の下落でテレビの店頭価格も下がっており、北米や中国市場でテレビ需要が回復傾向にある」(米調査会社ディスプレイサプライチェーンコンサルタンツの田村喜男アジア代表)。パネルの在庫も減少している。

7~8月は年末商戦に向け、テレビメーカーがパネル調達を増やしているのも需要を下支えしている。パネルを確保したい需要家が、パネルメーカーの値上げ要請を受け入れた。

 パネルメーカーによる生産調整の動きも出ている。英調査会社IHSマークイットの謝勤益シニアディレクターは「京東方科技集団(BOE)や華星光電(CSOT)といった中国メーカーが、一部の32型品の生産を需要が伸びる55型品に振り分けた」と指摘する。32型はこれまで荷余り感が強かったが、供給減少が価格を押し上げた。

 市場では需要が増える7~9月は上昇が続くとの見方が多い。一方で「短期的に32型の供給が抑えられたものの、パネル全体の供給過剰感は変わっていない」(IHSの謝氏)との指摘もある。

 液晶パネルの上昇は、有機ELパネルの価格動向には影響がなさそうだ。55型の場合、有機ELの方が液晶よりも4倍近い高値で取引されているとみられるため「価格競争には至らない」(商社)という。