EMS(電子製品受託製造サービス)世界最大手、鴻海精密工業は16日、中国広東省の珠海市政府と、半導体設備、IC設計など半導体分野における戦略協定に調印した。半導体工場の共同建設が視野にあるとの見方に対し鴻海は、現在工場建設の計画はなく、今後協力しながら計画を推進するとのみ説明した。鴻海は昨年、半導体事業を担う「S次集団」を設立したのに続き、郭台銘(テリー・ゴウ)董事長が今年5月に北京市で、必ず半導体を自製すると発言しており、珠海に半導体工場を建設する可能性がありそうだ。18日付経済日報などが報じた。

協定によると、鴻海と珠海市政府は今後、産業用モノのインターネット(IIoT)、8K+第5世代移動通信(5G)、人工知能(AI)などで次世代の高性能ICチップの需要が高まる中、半導体設備、IC設計などの分野で協力する。投資額など詳細は明らかにしていない。



 米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、事情に詳しい人物は、鴻海と珠海市政府は協力関係を深める考えで、目標は現地に半導体工場を共同で建設することと話した。

 鴻海は昨年、半導体事業を担う「S次集団」を設立。シャープ取締役を兼任する劉揚偉氏が主導し、100人以上の体制で半導体事業の強化に当たっているとされる。郭董事長は5月に北京市の清華大学で講演した際、「われわれは必ず半導体を自製する」と明言している。

 鴻海傘下の半導体事業は現在、シャープが福山工場(広島県福山市)でアナログICを製造している他、▽虹晶科技(ソクレ・テクノロジー)、IC設計▽天鈺科技(フィティパワー・インテグレーテッド・テクノロジー)、液晶ドライバIC設計▽訊芯科技、パッケージング・テスティング(封止・検査)▽京鼎精密科技(フォックスセミコン・インテグレーティッド・テクノロジー)、半導体設備──など。

 中国の調査会社CINNO Researchの楊文得・産業コンサルティング部副総経理は、鴻海グループには半導体分野の人材が足りないので、提携パートナーが必要との見方を示した。

 中国メディアは以前、鴻海と珠海市政府が8Kテレビのエコシステムや半導体などでの提携を検討しており、ソフトバンクが買収したIC設計大手、英ARM(アーム)も参画すると報道していた。郭董事長とソフトバンクの孫正義社長は親交が深く、両社はヒト型ロボット「ペッパー」や、インドの太陽光発電事業などで協力関係にある。