世界のスマートフォン市場で、中国メーカーの収益がサムスン電子を抜いたことが分かった。4-5年前までコピー商品を生産しているにすぎないと思われていた中国メーカーは、販売台数だけでなく、収益規模でもサムスンを抜き始めた。サムスン電子はプレミアム市場の雄であるアップルと中低価格帯の市場を掌握した中国メーカーの板挟みとなるサンドイッチ現象が深刻化するのではないかという懸念が聞かれる。  

香港の市場調査会社、カウンターポイントが発表した4-6月期のスマートフォン市場分析によると、華為(ファーウェイ)、OPPO、VIVO、小米(シャオミ)という中国「ビッグ4」は、スマートフォン市場で合計20億ドル(約2240億円)の利益を上げた。これは世界のスマートフォンメーカー約600社が上げた収益全体の20%に相当する。アップルは62%、サムスン電子は17%をそれぞれ占めた。また、アップル、サムスン電子、中国メーカー4社で収益全体の99%を占めた。



 中国メーカーは2年前、収益面でサムスン電子の相手ではなかった。アップル(62.8%)とサムスン電子(28.8%)で全体の91.6%を占め、中国メーカー4社の割合は7.9%にすぎなかった。サムスン電子は当時、「中国メーカーは中国、インドなど開発途上国と一部先進国で低価格機種の販売に集中しており、当面脅威となるライバルではない」との立場だった。しかし、年間で億単位の台数を販売する中国メーカーが相次いで高級機種を発表し、サムスンの主力市場に食い込んでいる。

 電子業界の関係者は「100万ウォン(約10万円)以上の最高級市場でアップルの牙城が揺るがない中、サムスン電子は50万-100万ウォン台のプレミアム市場で中国メーカーに追い上げられている」とした上で、「アップルと中国メーカーによる上下からの圧力の中で、今年の新機種『ギャラクシー9』が予想より不振で、サムスンが突破口を見いだすのは難しい状況だ」と分析した。

中国メーカーは中国、インドなど新興市場では中低価格機種を繰り出し、欧州市場はプレミアム製品で攻略する二本立ての作戦でサムスンを圧迫している。

 4-6月期に華為など中国ビッグ4の販売台数は1億4340万台に達した。サムスン電子(7150万台)の2倍に達した。サムスン電子の販売台数は前年を1.7%下回ったのに対し、中国メーカーの販売台数は増え続け、差が広がっている。

 さらに、中国メーカーはサムスンの一歩先に行く新機能のスマートフォンも相次いでいる。中国のVIVOが6月に発売した「Nex(ネックス)」は60万-80万ウォンと高価にもかかわらず、発売直後に中国市場でトップに立った。

 同機種はスマートフォンの画面に指を当てれば指紋が認識される。また、前面のカメラをなくす代わりに、写真撮影時にカメラが飛び出す方式を採用し、画面部分を最大化した。

 華為は3月に900ユーロ(約11万7000円)のP2Oを発売し、サムスンの牙城だった欧州のプレミアム市場に定着した。P2Oは世界で初めて裏面にレンズ3枚で構成される「トリプルカメラ」機能を搭載した。同社の余承東(リチャード・ユー)コンシューマー向け端末事業グループ最高経営責任者(CEO)は今月初め、「来年10-12月には世界首位のスマートフォンメーカーになる」と豪語した。

 こうした状況でアップルも最新機種のiPhone3種類を投入し、サムスンをけん制した。プレミアム機種のiPhone XS Maxに6.5インチの大画面有機発光ダイオード(OLED)パネルを採用し、大画面市場を主導してきたサムスンのギャラクシーノートシリーズに照準を合わせた。

 アップルのiPhone XS Maxは、ギャラクシーノート(6.4インチ)よりも画面が大きい。さらに普及モデルのiPhone XRには6.1インチの液晶画面を搭載し、価格を700ドルに抑えた。サムスンに70万-80万ウォンの市場を奪われないようにけん制する狙いとみられる。

 市場調査会社ストラテジー・アナリティクスは最近発表した市場見通しで、10-12月期にアップルが新機種効果でiPhoneを7910万台販売し、サムスン電子(7320万台)を抑え、首位に立つと予想した。