次世代ディスプレイのキーデバイス「有機ELパネル」の開発で、日本は韓国に大きく水をあけられてしまっている。しかし、日本勢が反撃する余地はまだ残っている。いや、場合によっては有機ELの勢力図を大きく塗り替える可能性も秘めた技術を日本企業は持っている。その筆頭格・JOLEDの取り組みを、技術経営の専門家・中田行彦氏がレポートする。
完敗の日本勢に挽回の機会はあるのか?  可能性はあると思っている。 日本の独自技術の芽が出てきているのだ。  
1つは、新しい有機EL材料の開発で期待されているのが、九州大学の安達千波矢教授が発明した「熱活性化遅延蛍光(TADF)」と、その実用化を目指す九州大学発ベンチャー「Kyulux」(キューラックス)の躍進だ。


 もう1つが、有機ELの生産では、コスト面で強みがある「3色印刷方式」に挑戦するディスプレイメーカー、JOLED(ジェイオーレッド)である。
JOLEDが、「3色印刷方式」で有機ELを量産できればパネル生産で一気に挽回できる可能性も出てくる。
通された会議室で見せてもらったのが、世界で初めて出荷を開始した3色印刷方式による有機ELディスプレイである。21.6インチで4K (3,840×2,160ドット)だ。
画質は、顧客も納得のレベルである。 「基板投入ベースで2000シート/月の生産能力を持つ、4.5世代のパイロットラインで量産実証を行っています。この能力の一部を用いて、21.6インチを少量生産しています。ソニーの医療用モニター向け等に出荷しています」
Read full article