米アップルが、液晶ディスプレーを搭載した「iPhoneXR」を発売。同モデルへの液晶供給で、5年ぶりの最終黒字を狙うジャパンディスプレイ(JDI)の月崎義幸社長に経営再建の手応えを聞いた。

 ──iPhoneXRに、JDIの新製品「フルアクティブ液晶」が採用されたと伝えられましたが、量産の状況はどうですか。  

個別の顧客については何も話せませんが、フルアクティブの量産は順調です。白山工場はフル稼働が続いていて、今年の夏はお盆休みもない状態でした。  
フルアクティブは、中国製スマートフォン向けにも量産していて、茂原工場もいっぱいです。ただ、中国スマホについては1台当たりの単価が落ちています。
付加価値を認めていただけない顧客に無理やりモノを出すという営業はもうやらない方針です。



 ──車載用液晶の売上高が伸びて、中国向けを上回っています。

 車載向けは、2018年3月期に1000億円を超えました。車載用液晶専用の鳥取工場はずっとフル稼働で、スマホ用液晶を製造してきた石川工場でも昨年夏から車載用液晶の生産を始めています。石川工場も19年には100%が車載向けになるでしょう。

 車載用の売上高は20年度に1600億円にする計画です。中韓メーカーもスマホ用が厳しいので車載用に参入して価格競争を仕掛けていますが、車載事業は顧客との信頼関係が大事です。当社の強みはあるでしょう。

 ──iPhoneは液晶の存在が大きくなっています。有機ELパネルの量産投資計画は凍結ですか。

 そういうわけでは全くありませんが、1年前はすぐにでも有機ELラインがなければ生き残れないという危機感があったのに対し、今は潮目が変わっているのではないでしょうか。われわれも、フルアクティブの立ち上がりが順調で、車載用も好調です。慌てて有機ELを量産するために巨額投資して、またタイトな資金繰りに陥るより、きちんと液晶で収益を生み出して資金を回すオペレーションに注力したいと思っています。

 ただ、ディスプレーメーカーとして有機ELを持っていないのは将来性に疑問符が付いてしまうので、新分野として必要な資源であることに変わりありません。液晶、スマホ用の有機EL、それと(JDIが出資する)JOLEDの印刷型有機ELの三つの技術をそろえたいと引き続き考えています。

 ──仮に20年にスマホ用の有機ELを量産するなら19年の段階でスポンサーの確保が必要では。

 量産にはそれなりの投資資金が必要なのは事実です。いろいろな話し合いは続けていますが、スポンサーとの交渉で足元を見られないだけの余裕はできたと思っています。