米アップルの商品戦略で日韓パネル大手の明暗が分かれている。新型iPhone(アイフォーン)は有機ELパネルの搭載機種が2機種に増えたが、韓国サムスン電子が7~12月に供給するパネルは前年同期比1割増にとどまる見通し。アップルが割安な液晶パネルを軸に据えたためだ。

サムスンは、グループを通じて7~9月に約2500万枚の有機ELを出荷し、10~12月もほぼ同量を供給するもよう。17年発売の「iPhoneX(テン)」向けを合わせると18年は計7千数百万枚。1年前の予測では計1億数千万枚とする強気の声が大勢だっただけに、約半分の水準には肩すかし感が強い。

7~12月の計5000万枚は実需より多いとの見方もあり、19年年初に有機ELパネルの生産ラインの稼働率が落ちる恐れもある。「ポスト半導体」として有機ELを育成してきたサムスンは戦略の見直しを迫られる。



アップルは価格戦略を軌道修正している。10月に発売した新機種「iPhoneXR」はデザインや顔認証機能こそ昨年発売した「X」を踏襲しているものの、ディスプレーは液晶に戻した。

有機ELは液晶より黒色の再現力や形状の自由度が高い半面、価格は液晶の2倍近いとされる。有機EL搭載のスマホが10万円を上回るのに対し、8万4800円という価格設定で値ごろ感を打ち出そうとしている。部品企業や通信会社の担当者らは「数量面でアップルが最も売れると期待しているのはXRだ」と話す。昨年発売の液晶モデル「8」も値下げして売り続けている。

アップルは年を追うごとに価格帯を押し上げてきた。ブランドイメージの向上と収益拡大には成功したが、販売台数は伸び悩む。先進国でもスマホに10万円超を払える人は「一握り」という実態は浮き彫りとなった。旧モデルからの買い替えを着実に取り込むため、現実路線に拍車がかかる。

パネル産業の調査会社、米ディスプレイサプライチェーンコンサルタンツ(DSCC)の調べでは、18年10~12月期の世界の中小型有機ELパネル市場は75億8700万ドル(約8500億円)と前年同期より9%減少する見通しだ。

テレビ向けの有機ELに強い韓国LGディスプレーはスマホ市場への参入を計画し、アップルと早期に本格取引を始めたい考えだが、年内にアップルが受け取るパネルは数十万枚になりそう。それも「修理や交換用ではないか」(韓国のアナリスト)。

LGは18年7~9月期に有機EL単独の損益を初めて黒字化させたばかり。液晶は中国勢の増産ラッシュで市況が緩んで損益が大幅に悪化した。主力を有機ELにシフトさせ、一部の生産ラインを有機ELに転換させるのも視野にアップルに秋波を送ってきた。パネル大手はアップルに翻弄され続けている。