NTTドコモは26日、米アップルのスマートフォン(スマホ)「iPhoneXR」の端末価格が3割安くなるプランを新設した。新機種を発売1カ月で値引きするのは異例。店頭では販売が振るわず在庫が積み上がっており、iPhoneの高価格路線が修正を余儀なくされている。

ドコモは同日から、携帯端末を12カ月間続けて使う条件で端末代金を割り引く「端末購入サポート」プランに、新たにXRを加えた。このプランは通常、古くなった機種を安く販売する際に適用することが多い。

XRは3タイプあり、価格は9万8496~11万6640円。最も安い機種に従来の割引などを適用した場合の端末価格は3万9528円で、新たな割引を組み合わせるプランは2万5920円となる。



大手の販売代理店によると、XRの携帯大手3社の販売台数は「iPhoneX」が2017年秋に発売されて1カ月後の水準より3割程度少ない。価格が高い割に機能が限られているとの声があるという。

販売代理店の関係者は「XRの在庫が多い。値下げは自然な流れ」と語った。

KDDIはXRを値下げするかについて「個々の端末メーカーとの取引についてはコメントできない」、ソフトバンクは「特に決まったことはない」とした。

ドコモは同日、25歳以下を対象に携帯電話料金を1年間、月1500円割り引く学割プランを12月1日から始めると発表した。17年は12月27日に学割を始めており1カ月近い前倒しとなる。

ドコモによると、今回のXRの値下げは学割の開始にも合わせたもの。端末と通信料金の負担を小さくして利用してもらうことを念頭に置いたという。

携帯電話を巡っては26日に総務省の有識者会合が、端末と通信の料金の「完全分離」を求める緊急提言案を公表した。

iPhoneは携帯大手が無料同然でばらまいたことで大きなシェアを確保した。総務省の有識者会合はこうした過度な割引で端末市場の競争がゆがんだと指摘、端末と通信の代金の完全分離が必要と訴えている。

携帯と通信の料金を分離すると、スマホ本来の値段がはっきりみえるようになる。「価格の高いiPhoneはさらなる失速が避けられない」との見方が多い。来春以降、法改正を含めて端末割引が厳しく規制される公算が大きい。「最後の追い込みで端末割引を進めるショップが増える可能性がある」。大手代理店の担当者は指摘する。

高い価格に応じた機能を実感できないと消費者の支持が得られない。政府の包囲網もある。アップルも通信大手も、これまでのビジネスとは違うやり方を確立する必要に迫られている。