JDI 001-PN1-5経営再建中のジャパンディスプレイ(JDI)の株価が上場来安値圏に沈んでいる。12日に発表した2018年4~9月期の連結決算では前年同期に比べ営業赤字が縮小したが、その後株価は下落。12日の終値を約3割下回る水準にとどまる。JDIが液晶パネルを供給する米アップルの新型スマートフォン(スマホ)「iPhone X(テン)R」への期待が急速にしぼんでいるのが原因だ。

「ヘッジファンドからの問い合わせが増えている」(国内証券)。JDI株は26日に年初来安値となる65円まで下げた。29日の終値は73円。売買高は決算発表前に比べて高い水準が続いており、値動きの軽さに注目した短期売買の資金が向かっているようだ。



株価下落の主因とされるのが決算発表後に伝わった中国・天風国際証券の著名アナリスト郭明●(かねへんに其)氏による出荷見通しだ。XRは19年9月までで1億台から7000万台に引き下げた。XRにはJDIの液晶パネルが搭載されている。価格が手ごろで新型iPhoneの売れ筋とみられており、市場関係者には驚きを持って受けとめられた。

出荷見通しの引き下げが伝わる前、JDIの月崎義幸社長も4~9月期の決算説明会でXRの苦戦を示唆していた。「(スマホ向け液晶は)市況を見ていくと年明けにかけて大きく伸びることはない」。JDIは売上高や利益の予想を開示していないが、12日に19年3月期通期の売上高増加率と売上高営業利益率の見通しを従来から下げた。

この時点での会社側の説明には「株価に大きなネガティブはない」(ゴールドマン・サックス証券の高山大樹氏)との見方があった。だが、著名アナリストの情報が流れると「会社の見通しより株式市場がXRの売れ行きを厳しく見るようになった」(同)。

JDIの売上高に占めるアップル向けの割合は55%(18年3月期)で、XRの不振は業績に直結する。だが、市場が懸念しているのはそれだけではない。

1つがiPhoneの19年モデルの画面に液晶が採用されない可能性だ。現時点では高価格帯は有機EL、低価格帯は液晶というすみ分けができていると思われる。しかし、有機ELは課題だった歩留まりの悪さが「今年に入り改善している」(電子部材メーカー)。有機ELの価格が大きく下がれば「19年の液晶モデル存続には不透明な部分が残る」(モルガン・スタンレーMUFG証券の小野雅弘氏)というわけだ。

もう一つがアップル依存からの脱却だ。JDIは安定収益源と位置付ける自動車に搭載するパネルや一般消費者向けの事業に力を注いでいるが、収益への貢献はまだ小さい。

18年7~9月期の連結売上高1109億円に対し、車載とモバイル以外の比率は40%の443億円。前年同期に比べ70億円増えたが、同期間で813億円を減らしたモバイル分野を補うには明らかに足りない。

もちろんXRの販売が持ち直せば、市場の見方は変わる。NTTドコモは値下げでテコ入れする。「XRは高いから売れなかった。価格を下げれば販売動向は変わる可能性がある」(東海東京調査センターの石野雅彦氏)との指摘もある。

スマホへの依存度を下げる取り組みを広めようと12月4日には戦略発表会を予定する。地方自治体や大学との連携、透明液晶ディスプレーを使ったヘルメットの製品化の進捗などを説明するようだ。

JDIは19年3月期の売上高営業利益率を1~2%と見込む。XRなどに大きく依存して、ようやく黒字を確保する状態だ。外部の情報で株価が大きく動く状況を脱するには、将来の姿に向けた戦略を示して着実に公表した数字をクリアする、地道な努力を重ねるしかない。