矢野経済研究所は、車載用ディスプレイ世界市場の調査を実施。2021年の同市場は2017年比29.1%増の1億9199万枚に成長すると予測した。

車載用ディスプレイ市場では、信頼性の高いTFT-LCDが圧倒的な強みをみせており、CID(センターインフォメーションディスプレイ)向けへの標準搭載やTN/STNからTFTへ切り替えが進むインストルメントクラスター向けで需要が拡大。さらに、HUD(ヘッドアップディスプレイ)やリアビューミラーやサイドミラーなどの新規用途向けの主力ディスプレイとしても採用され、車載用ディスプレイ市場の拡大とともにTFT-LCD市場の成長が続く見通しだ。



高コントラスト性が評価される車載用AMOLED(有機EL)は、2018年以降、アウディがCID向け、サイドミラー向けなどで搭載を予定。メルセデス・ベンツもAMOLEDパネルの採用を予定しているが、現時点でも「輝度」、「残像」、「寿命」などの車載用スペックを完全にはクリアできていない。そのため、最初の採用はRSE(リアシートエンターテイメント)のコントロール画面に留まったとみられるが、アウディの新型車種向けでCIDやサイドミラー向けのサンプル出荷が行われているようだ。

2017年の車載用ディスプレイ世界市場(純正品+市販品・メーカー出荷数量ベース) は前年比6.8%増の1億4868万枚だった。同研究所では今後、2019年に2017年比13.9%増の1億6920万枚、2021年の同市場は2017年比29.1%増の1億9199万枚と、順調に成長すると予測。ただし、TN/STNからのTFT-LCDへの置き換え需要で高成長を遂げたクラスター向けの車載ディスプレイは、置き換え需要が一段落するとみられる2023年が近づくにつれ成長率は緩やかになっていく見込みだ。