― 2019年のFPD市況の見通しは。
謝)FPD供給面積の伸び率は9%、需要面積の成長率は6.4%と想定している。前半は供給過剰によって価格下落が激しくなるものの、後半は需給がタイトな状況へ回復すると考えている。BOE合肥の生産能力拡大に加え、2019年初頭にCSOT深センでも10.5G液晶工場の稼働が見込まれるため、年前半は液晶の価格下落が深刻化する。2019年3月にはテレビ用32型オープンセルの価格が35~36ドルまで下がると予想しており、2018年に最低だった45ドルをも下回る。これに伴い、1~3月期は多くのFPDメーカーが赤字に陥る可能性が高い。

― 下期回復のシナリオとは。



謝)韓国のFPDメーカーが8.5Gテレビ用アモルファスシリコン(a-Si)液晶工場を転換することで、供給過剰が緩和される。サムスンディスプレー(SDC)はQD-OLED、LGディスプレー(LGD)は有機ELへの転換を予定しており、いつのタイミングで、どのように転換するかが大きなポイントになる。今のところ、SDCはまず2019年6~7月に月産10万枚分の転換に着手し、うまくいけば年末にも同規模をQD―OLEDへシフトする。仮に8.5G20万枚分を転換すれば、供給能力が4%減少することになるため、供給過剰の解消に大きく寄与する。ちなみに、QD-OLEDはa-Siに比べてマスク工程が多いため、10万枚分を転換しても4万枚しか生産できない。見通しどおり2019年半ばに転換に着手するならば、QD-OLEDラインの生産開始は2020年1~3月期ごろになると想定している。4Kをスキップし、最初から8Kの量産化を狙うようだが、65インチで1000ドルクラスの非常に高価なパネルになりそうだ。


― LGDも有機ELへの転換を検討中です。
謝)転換に多額の投資を要することに加え、液晶価格の下落で収益力が落ちているため、まずは2019年半ばの稼働を予定している中国・広州の8.5G有機EL新工場立ち上げに全力を挙げるだろう。テレビ用有機ELパネルは現状でLGDしか供給しておらず、需要が旺盛でパネル不足が続いているためだ。

― 韓国メーカーのライン転換が具体化すれば、サプライチェーンに影響を及ぼしそうですね。
謝)SDCがa-SiをQD-OLEDに転換すれば、サムスンは台湾のAUOや中国メーカーからテレビ用液晶パネルの購買量を増やす。同様にLGDも転換を決めれば、LG電子はIPS液晶を生産するBOEからの調達を増やすだろう。台湾メーカーが率先して生産能力の再編に取り組む必要はなくなる。これに加えて、中国のテレビ市場が大きく変わりそうだ。韓国のテレビブランドは中国市場でシェアを落としている。スカイワースやハイセンスといった中国ブランドも同様であり、この背景にはテレビに新規参入したシャオミーが大きくシェアを伸ばしていることがある。シャオミーに加えて、2019年からはファーウェイも本格参入の構えを見せており、既存ブランドは厳しい戦いを強いられることになる。ファーウェイはスマートフォンでもテレビでも、BOEのパネルを大量に使うことになる。

― BOEをはじめとする中国メーカーがテレビ用有機ELに本格参入する可能性は。
謝)確かにBOEは印刷技術を用いてテレビ用有機ELの開発を続けており、2019年末を商品化のターゲットに置いているようだが、材料技術のさらなる向上余地などを考慮すると、2019年中に量産するまでには至らないのではないか。