12月初旬、三重県の労働組合「ユニオンみえ」など計4団体が厚生労働省で記者会見を開いた。ここで明らかになったのが、亀山工場に勤務していた外国人の派遣労働者約3000人が、シャープの3次下請けにあたる人材派遣会社ヒューマンによって、昨年末から今年10月にかけての短期間で雇い止めされていたことだ。
新しいラインの垂直立ち上げに向け、シャープの2次下請けにあたる派遣会社は、3次下請け企業を通じ、2017年の夏以降に日系外国人コミュニティーから大量に人員を採用。昨年10~11月頃には「時給1300円」「月収37万円」といった好待遇を提示し、一時は4000人近い労働者を集めて人海戦術を繰り広げた。


だが状況が一変したのは、労働者を大量採用してからわずか数カ月後の昨年12月ごろ。「安定した職があると約束されて、友達と一緒に三重県に来たのに、12月ごろ一気に400人がクビになった」(今年9月に雇い止めされ、会見に出席した元労働者のスズキ・ファビオラさん)。
そんな中、鴻海が中国にあるGISの工場へ生産を移管すると決めたのだ。その理由は不明だが、なかなか立ち上がらない生産を見かねた鴻海が、見切りをつけた可能性はある。「(鴻海の)テリー・ゴウ会長が、亀山の歩留まりが上がっても日本国内では割に合わないと判断したのかもしれない」(みずほ証券の中根康夫シニアアナリスト)。