中小型液晶パネルメーカーのジャパンディスプレイ(JDI)は14日、今期(2019年3月期)の当期純損益の黒字化は困難と発表した。純損失は5期連続。最大顧客の米アップルの不振が影響した格好だ。

  営業損益は200億円を超える赤字となる見込み。売上高は前期(7175億円)比約10%減となる。

発表によると、スマートフォン向けディスプレーの顧客需要が下期に大幅に減少した。顧客の有機EL採用も進み、競合他社の生産能力拡大で競争も激化した。車載などスマホ以外の用途も想定を下回った。



  財務基盤と市場競争力を強化するため、複数社との提携交渉を進めており、早期の合意を目指す。調達した資金は成長資金だけではなく、運転資金にも使う計画。追加の構造改革も検討している。

  会見した月崎義幸社長は、今期の赤字見通しを「経営陣として非常に重く受け止める」と発言。提携交渉については当初、「将来の成長資金とご理解頂きたい」と述べたが、運転資金にも使うと修正する場面があった。交渉相手や合意時期など詳細は明らかにしなかった。

  車載向け商品の拡大を進めているものの、売上高の過半を占めるアップルの業績に左右される収益構造から脱却できていない。アップルのiPhone(アイフォーン)は薄くて軽い有機ELへの移行を進めており、JDIも開発を急ぐ。ただ液晶事業や有機EL量産化には大規模投資が必要で、傷んだ財務の立て直しが課題。

 岩井コスモ証券の斎藤和嘉シニアアナリストは「スマホ市場が成熟化し、中国の景気減速で買い換え意欲も低下している」と分析。スマホ市場の動向によって、JDIの第4四半期の業績に厳しさが増す可能性を指摘した。