液晶パネル最大手、友達光電(AUO)の彭双浪(ポール・ポン)董事長は26日、折り畳みスマートフォン向け有機EL(OLED)パネルを今年出荷できるとの見通しを明らかにした。スマホ市場が飽和する中、折り畳みパネルは新たな目玉機能として注目を集めており、同社も有望市場とみて参入を図る。27日付経済日報などが報じた

 彭董事長は、同社は折り畳みパネルの量産能力を既に備えており、今年発売されるスマホへの搭載を目標にすると明らかにした。同社は、技術難易度の高い内側に折り曲げるタイプを年内に発表する構えだ。



 折り畳みパネルは、韓国のサムスンディスプレイ(SDC)が開発した内側に折り曲げるタイプを、サムスン電子が4月以降に発売予定の「ギャラクシーフォールド」で採用した。一方、中国の華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)が発表した「Mate X」には、京東方科技集団(BOEテクノロジーグループ)が外側に折り曲げるタイプを供給する。

 AUOは、SDCとBOEに続く折り畳みスマホパネル市場への参入となる。彭董事長は、腕時計型などスマート端末などへの応用にも期待感を示した。

 彭董事長は、シンガポールの第4.5世代工場の低温ポリシリコン(LTPS)液晶パネルラインを有機ELパネル生産に転換し、将来的に専用工場とすると説明した。

 ただ、折り畳みスマホは現段階では6万~8万台湾元(約21万5,000~28万7,000円)と価格が高く、消費者の反応を見極める必要があると指摘。市場が拡大するのは2年後になるとみている。このため、リジッド有機ELパネルの1.5倍の投資が必要なフレキシブル有機ELパネルへの投資は、慎重に行う考えだ。

 市場調査会社、ウィッツビュー・テクノロジーの范博毓・資深研究協理は、中国メーカーが有機ELへの大規模な投資を行っているため、AUOが大規模生産に踏み切る可能性は低いとみている。中国では合計18本の有機ELラインが計画または建設中だ。

 AUOは、当面はLTPSパネルも強化する方針だ。AUOの蔡国新総経理は、スマホで全画面ディスプレイを実現するカメラ内蔵パンチホール(穴あき)の採用拡大に期待感を示した。