米アップルは25日、定額制の動画配信市場に参入すると発表した。米映画監督のスティーブン・スピルバーグ氏らと独自のコンテンツを用意し、2019年秋にサービスを始める。世界の100を超す国や地域でサービスを提供する計画だが、料金などの詳細についてはサービス開始直前に発表するとの説明にとどめた。

19年秋に始める新サービスの名称は「アップルTV+(プラス)」。映画監督のJ・J・エイブラムス氏や俳優のジェニファー・アニストン氏、リース・ウィザースプーン氏らと連携し、他の動画配信サービスでは見られない独自の映画やテレビ番組、ドキュメンタリーなどを用意する。



アップルは独自の動画配信サービスの開始に先立ち、動画配信用アプリケーションソフトの機能を19年5月に大幅改良することも明らかにした。従来は動画配信サービス事業者ごとに異なるアプリを起動する必要があったが、改良後はアップルが提供する1つのアプリ上で米ケーブルテレビ大手のHBOや米アマゾン・ドット・コムなどのサービスを自由に選択して視聴できるようになるという。

07年に定額制の動画配信サービスを始めた米最大手のネットフリックスは独自映画の制作などでも先行しており、世界で1億4000万件を超える契約数を獲得している。ただ、劇場公開期間などが限定されている同社の作品が米映画界で最も権威があるアカデミー賞を受賞するようになったことには反発もある。批判の急先鋒(せんぽう)だったスピルバーグ氏を自社サービスに呼び込むことで、アップルは映画界との協調関係を示す狙いとみられる。