2日付電子時報がサプライチェーン関係者の話として伝えたところによると、アップルは2020年にスマートフォン「iPhone」3機種全てで有機EL(OLED)ディスプレイを採用するもようだ。サイズは5.42~6.67インチと、小サイズ機種はより小さく、大サイズ機種はより大きくする方針とされる。差別化によって消費者の取り込み拡大を図ることが目的で、台湾サプライチェーンの業績への貢献が期待される。

全機種の有機ELディスプレイ化に伴い、液晶ディスプレイ(LCD)の採用は取りやめる。20年の新機種は有機ELディスプレイ搭載の▽5.42インチ▽6.06インチ▽6.67インチ──の3機種となり、18年発売の▽5.8インチ▽6.1インチ(LCD搭載)▽6.5インチ──より機種間のサイズ間隔を広げるとされる。より小さな画面を求める女性ユーザーや、より大きな画面を求めるパワーユーザーの需要取り込みが期待できる。



 電子時報は20年新機種について、技術力からみてサムスンディスプレイ(SDC)が有機ELパネルの主要サプライヤーとなり、LGディスプレイ(LGD)と京東方科技集団(BOEテクノロジーグループ)も受注できる可能性があるが、受注比率についてはさらなる動向を見極める必要があると伝えた。

 電子時報は、このうち5.42インチディスプレイ搭載機種について、SDCのタッチパネル技術「Y-OCTA」、またはLGDの同技術「TOE」を採用し、コスト低減を図る可能性があると伝えた。アップルが18年に発売した5.8インチディスプレイ搭載のiPhone XS(テン・エス)向けでは、有機ELパネル価格が1枚当たり約90米ドルのところ、Y-OCTAの採用によって70米ドルまで低減可能とされる。

 「Y-OCTA」は、フレキシブルのアクティブマトリックス式有機EL(AMOLED)ディスプレイでタッチセンサーを一体化する技術で、タッチパネル回路をパネルに薄膜封止(TFE)することで、ディスプレイの薄型化を実現する。狭額縁設計のインフィニティディスプレイで優れた視覚効果の実現が可能で、サムスン電子が今年3月に発売したスマホ「ギャラクシーS10」でも採用されている。

 有機ELディスプレイの全面採用で、アップルはダーク(夜間)モード機能を強化し、夜間のユーザーエクスペリエンスの向上を図るとみられている。外電によると、iPhoneなど向けの次期基本ソフト(OS)「iOS13」には、ノートパソコン向け現行OS「macOS Mojave」で採用されたダークモードに類似した機能が新たに追加される見通しだ。

 LCDのようにバックライトを必要としない有機ELディスプレイでは、ダークモードへの切り替えで一層の節電が可能だ。アップルは、既にソフトウエア面で有機ELディスプレイへの切り替えに向けた準備を進めているようだ。

 一方、アップルが19年下半期に発売するとされる新機種は、5.8インチと6.5インチの有機ELディスプレイ搭載機種と6.1インチのLCD搭載機種の3機種で、18年のラインアップを踏襲するとみられている。このため、販売が振るわなかった18年発売機種と違いが少なく、今年の新機種の販売には大きな期待はできないとの見方が出ている。 

 市場では、19年のiPhone販売台数は上半期に8,000万~8,200万台、通年で1億8,000万~1億9,000万台と予測されている。