日本のお家芸だった液晶パネル産業がついに家元の手を離れる。ジャパンディスプレイ(JDI)は来週前半にも中国・台湾企業連合からの出資受け入れを決め、その傘下に入る見通しだ。JDIの不振は過度の米アップル依存にあり、2012年の設立当初に掲げたはずの“リンゴ依存脱却”に逆行する施策を繰り返した近年の経営の迷走が主要因だ。73年にシャープが電卓用液晶の量産に成功して以来、固守してきたお家芸は担い手を替えて再興を目指す。
中台連合はJDIの技術を基に、中国で有機ELパネル工場を建設する計画。有機EL技術流出への懸念が今後広がりそう。また、米中貿易摩擦を背景に米国当局が中国企業の絡むJDI買収を承認するかも不透明だ。


「今のJDIは設立直前の東芝の液晶事業と全く同じだ」(INCJ元幹部)と既視感が強い。東芝はアップル向けの売上比率が高く、経営不振の一因とみられていた。「東芝はアップルから資金支援を受けて最先端の設備に投資しまくったが、アップルからの発注が止まって急激に収益を悪化させた」(同)と7年かけて同じ間違いを繰り返した格好だ。
省内には“ゾンビ企業の救済機関”というレッテルを回避したい思惑もある。JDIへの支援を漫然と続ければ、批判が強まる恐れがあった。すでに今国会でもゾンビ企業の救済に懸念する声が相次ぐ。
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