テレビ向け液晶パネルの取引価格が半年ぶりに上昇した。指標となる32型の3月の大口取引価格は前月比約4%高い。昨年秋からのパネル価格の下落で中国や韓国の大手パネルメーカーが減産に動き出したことで品薄感が強まった。最終製品の32型テレビの価格が下げ止まるとの観測も出ている。

中韓や台湾のパネルメーカーと内外のテレビメーカーの間で決着した3月価格はオープンセル(バックライトなどがつかない半製品)の32型で前月比約4%高い1枚42.5ドル前後。値上がりに転じるのは昨年9月以来半年ぶり。43型も値上がりし、82.5ドル前後と前月比で約2%高かった。



上昇の主因は内外のパネルメーカーの減産。値下がりで収益性が低迷している32型や43型を作る従来の生産ラインを一部改造し、需要が伸びている55型や65型の大型パネルの製造に振り向けている。最大手の京東方科技集団(BOE)やサムスンディスプレーなどのパネル各社は「32型などの中型パネルの生産調整を進めている」(国内アナリスト)。

32型パネルは最終製品のテレビの買い替え需要もあり需要は堅調だ。部材のパネル需要が堅調ななかでの減産でパネルの品薄感が一気に強まった。パネルメーカーは値上げを要求し、買い手のテレビメーカーは安定供給を条件に受け入れた。

メーカーが抱える過剰在庫はほぼ解消し、メーカーの販売姿勢も強気に転じている。32型と43型の価格見通しについて、「6月ごろまで値上げ基調が続く」(米調査会社DSCCの田村喜男アジア代表)との見方が多い。

32型パネル価格の上昇で最終製品のテレビ価格が下げ止まる可能性が出てきた。パネルはテレビの主要部材で、これまでパネル価格の下落がテレビの店頭価格の下落につながってきた。足元のパネルの上昇でテレビ価格の下げ余地が薄れてきた。