サムスン電子が中国で唯一存続してきたスマートフォン工場で人員削減に着手した。深刻な販売不振と人件費上昇に伴う措置だ。

 中国の経済メディア「財新」は5日、サムスン電子が中国・広東省恵州市にある工場の従業員を対象に補償金を支給する方式で希望退職を14日まで受け付けていると報じた。人員の削減規模は報じられていない。サムスン電子も同日、「経営効率化のため、生産量の調整と人員削減を進めている」と認めた。

 恵州工場は現在サムスン電子が中国で操業している唯一の工場だ。同社は中国での販売不振が深刻化したことを受け、昨年4月に深セン工場を閉鎖し、12月には天津工場の操業も中断した。



恵州工場は1992年に操業を開始し、2006年からスマートフォンを生産してきた。17年時点で約6000人の従業員が6257万台のスマートフォンを生産した。

 人員削減の理由は人件費負担と中国国内での販売台数低迷だ。恵州工場の月平均賃金は08年の1894元(約2万9700円)から昨年の5690元へと10年間で3倍に上昇した。同じ期間にサムスン電子の中国スマートフォン市場でのシェアは20%台から0.8%へと落ち込んだ。

 恵州工場は工場閉鎖計画はないとしているが、業界からはサムスン電子が中国から全面撤退するとの見方が聞かれる。代替生産地としてはベトナムが取り沙汰されている。サムスン電子は現在、スマートフォンの40%をベトナムで生産している。