steve jobs複数の関係者によると、米アップルが「iPhone(アイフォーン)」の販売低迷で苦境に陥っている液晶パネル大手ジャパンディスプレイ(JDI)の支援に意欲を示しているようだ。アップルがサプライヤーへの配慮を示すのは異例だという。

 資金繰りに窮しているJDIを巡っては、事業見通しへの警戒感から救済交渉が難航している。

 JDIは3年前、アップルの融資を受け、1700億円を投じて国内にiPhone向けの液晶パネル工場を建設した。JDIの広報担当者によれば、同社は年200億円以上の返済で合意。3月時点の借入残高は1000億円だった。



 協議に関わる筋によれば、アップルは返済条件を緩めることに同意したものの、JDIの救済を検討している投資家は一部債権の放棄、最高200億円の注入、今年と来年のJDIへの発注保証など、一段の譲歩を求めている。

 関係者らによると、アップルはこうした要求を検討する姿勢を示している。同社はコメントを避けた。

 ある交渉関係者は、金額が200億円より低くなる可能性もあるが、アップルは少なくとも意欲を見せていると語った。

 アップルはJDIの総売上高の半分程度を占めている。

 JDI救済を検討している投資家は、アップルが来年中に液晶版iPhoneを打ち切り、有機EL版に完全移行する可能性があると警戒している。アップルに来年までのJDIへの発注を保証するよう投資家が求めているのはこのためだ。

 JDIはスマートフォン向け有機ELパネルの量産体制が未整備。ただ、計画に詳しい複数の関係者によると、今年は時計型端末「Apple Watch(アップルウォッチ)」用の小型の有機ELディスプレーを供給する予定だ。