ジャパンディスプレイ(JDI)への金融支援をめぐり、中国の有機ELパネル大手の維信諾(ビジョノックス)が新たな出資予定者として浮上していることが19日までに明らかになった。中国家電大手のTCL集団も興味を示している模様。従来の中国・台湾企業連合の枠組みから台湾勢が離脱する方向で、債務超過寸前のJDIは新たな出資者探しを急ぐ。ただ、米中貿易摩擦の影響もあって“中国連合”の実現に向けたハードルは高い。

現在は既存の中台連合「Suwaコンソーシアム」に残る中国ファンド最大手のハーベストグループが新たな出資者探しを主導。ビジョノックスとTCLが手を挙げたようだ。どちらも中国で有機ELパネル工場計画を持ち、JDIが保有する最先端の有機EL技術を取り込みたい考え。



最大800億円の支援を予定していた同コンソーシアムから台湾タッチパネル大手のTPKホールディングが17日までに離脱し、台湾金融大手の富邦グループも撤退の見通し。

ハーベストは新たな出資予定者として香港ファンドのオアシス・マネジメントを引き入れ、両社は27日までに出資を機関決定するという。それでも2億ドル(約216億円)分が不足するため、ビジョノックスなどはその肩代わりを求められる。

ただ台湾勢が抜けて中国企業のみの枠組みに変わると、米国の対米外国投資委員会(CFIUS)の審査がより厳しくなる見通し。またハーベストなどが中国で有機ELパネル工場を建設しようとしても、パネル製造に不可欠な米国メーカーの製造装置の対中輸出は難しい。

JDIは同コンソーシアムの代替案として、国内外で新たな出資者も探す。シンガポール投資ファンドのエフィッシモ・キャピタル・マネージメントが出資に意欲を見せ、主要顧客の米アップルも追加支援を検討している。ただJDIの資金繰りは悪化しており、筆頭株主で政府系ファンドのINCJ(旧産業革新機構)を含めた交渉は時間との闘いだ。