NHK放送技術研究所、通称“NHK技研”。毎年5月に開かれ、放送に関する世界最先端の研究に誰でも触れられるイベント。そんな技研公開を、麻倉怜士氏が今年も徹底取材し、未来の常識となるかもしれない技術研究を語り尽くす。しかし、麻倉氏は、今年の展示内容に対して少々以上にご不満の様子。どうやらその理由、世界の放送を牽引した8K放送が始まった後に、今の技研公開がどんな未来を見せるのか、という方向性にあるらしい。

――初夏の入りはNHK技研公開の季節です。映像・放送に関する世界最先端の研究技術が公開される貴重なイベントですが、今年はどうでしたか?



麻倉:やはり8Kの実用放送が始まったという事が大きな区切りになったと感じますね。展示内容は昨年くらいからガラリと変わり、今年はそれが具体的になったように見えました。つまり「4Kだ!! 8Kだ!!」といったハードの進展よりも、メディアの使い方や視聴スタイルをどう新しくするかというところを目指すという方針に舵を切ったという事です。

技研では2030~2040年くらいの目標として「ダイバースビジョン」ということを言いながら、メディア横断型のコンテンツ視聴を打ち出していました。昨年は如何にも「頑張ってやりました」感があり、今年も言っていることは変わらなかったのですが、出てくるものの具体的なイメージが昨年と比べて明確になった様に感じます。そこが一番大きな変化でしょう。


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