台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業は6月21日、定時株主総会を開き、創業者の郭台銘(テリー・ゴウ)氏が経営トップの董事長(会長)を退く人事を決めた。後継トップに就く劉揚偉氏を中心とする集団指導体制に移行する。
 郭氏は4月9日、習近平国家主席に近い広東省トップの馬興瑞省長をシャープの東京支社に自ら迎えた。シャープの戴正呉会長兼社長とともに超高精細の映像技術「8K」や、折り畳み式スマートフォン向けに開発中の曲がるディスプレーの試作品を披露した。多くのシャープの幹部が居並ぶ前で、郭氏は「経営の一線から退く」考えを示唆した。奔放な発言で知られる郭氏なので、この時、幹部らは退任を本心とは捉えなかった。


 鴻海の業績は振るわない。18年12月期の連結営業利益は1361億台湾ドル(約5000億円)。16年のピークから約2割の減益である。スマホ市場の失速や中国での人件費高騰など、克服すべき経営課題が山積している。
 1週間後の4月17日、郭氏は総統選への出馬を表明した。鴻海の株価は出馬表明以降、冴えない。
 シャープの解体論が再浮上してくることもあり得る。その一方で、高精細の8Kや有機ELなどで独自の技術を持つシャープは、鴻海グループの成長のエンジン役を果たすとして、シャープ必要論を唱える向きもある。そうであれば、シャープは手放せないことになる。戴氏は鴻海の董事となったが、就任以前の5月27日、日本で記者団に対し、「郭氏が総選挙に出馬するので、仕方なく私が(鴻海の新役員名簿に復帰する形で)入った。ただ、鴻海の事業執行にはかかわらない」と述べ、「今後もシャープの経営に専念する」姿勢を強調した。
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