台湾のタッチパネル大手、宸鴻光電科技(TPK)が5日発表した2019年4~6月期の連結最終損益は、5400万台湾ドル(約1億8000万円)で、黒字(前年同期は2億2700万台湾ドルの赤字)に転換した。米アップル向けで受注が増えて業績は復調傾向ともみられたが、貿易戦争がここにきて再び激化し、先行きには不透明感が強まってきた。

謝立群・最高経営責任者(CEO)は5日、決算発表の電話会議で、米中貿易戦争の激化により「顧客の需要が減少すれば対応が必要になる」と警戒感をにじませた。「国際的な政治経済の(変動の)影響で、先行きが非常に見通しにくくなっている」とも述べた。



同社は電子機器の画面のタッチパネル部品を手掛ける。アップルのスマートフォン「iPhone」やタブレット端末「iPad」の製造にも関わる。米国政府は1日、スマホなどを含む中国製品のほぼ全てに追加関税を課す第4弾の制裁を9月1日に発動すると表明し、中国生産が主力のTPKの経営にも影響が出るとの懸念が出ていた。

これに対し、謝氏は「直接的な影響は少ない」と強調した。だが、上乗せ関税を受けた最終製品の値上げなどで消費が鈍り、TPKが部品を納入する顧客の需要自体が減少すれば「対応が必要だ」と指摘した。

TPKは一時、経営再建中のジャパンディスプレイ(JDI)への金融支援を予定していた。だが、JDIの業績見通し悪化などを受けて6月に撤退した。TPKの幹部は5日、「日本への投資は成功せず、既に停止した。我々は本業に集中する」と述べた。