経営危機の中小型液晶パネルメーカー、中華映管(CPT)は29日、全従業員約2,100人の解雇を決定したと発表した。事実上、廃業に等しい決定だ。創業48年、台湾メーカーとして初めて大型パネルを量産した同社は、中国勢の台頭による業界競争の激化によって、初めて市場から姿を消す台湾パネルメーカーとなる。30日付経済日報などが報じた。

同社の29日発表によると、経営悪化で受注がゼロとなり、全従業員の解雇決定に至った。今後、労働基準法(労基法)など関連法令に基づいて全従業員の解雇手続きを行う。解雇日は正式には60日後となる。今回の大量解雇によって工場生産が完全に停止し、廃業への手続きに移るとみられる。

 同社は昨年12月、経営悪化が明らかとなり、今年3月には当時の従業員の55%に当たる2,500人を解雇していた。第6世代工場での少量生産に注力し、第4.5世代工場を閉鎖、売却する計画だった。



 しかし7月末、会社更生手続きを巡る抗告が裁判所に棄却され、債権行使の差し止め請求も今月に期限を迎えていた。同社の土地、工場棟などは現在、裁判所に差し押さえられている状況だ。また、7~8月の電気料金を支払えず、台湾電力(台電、TPC)から7月分を8月末に支払わなければ、9月2日で電力の供給を停止するとの通知も受けている。

 中華映管の生産停止によって、業界では製品規格などが近い瀚宇彩晶(ハンスター・ディスプレイ)が、転注によって最も恩恵を受けると予想されている。

 ハンスターは転注効果によって、第2四半期出荷量が増加。上半期は4億9,200万台湾元(約16億7,000万円)の黒字となり、友達光電(AUO)や群創光電(イノラックス)が2四半期連続の赤字を計上したのと対照的な結果となった。

 ハンスターによると、第3四半期の中小型パネル価格は前期より安定する見通しだ。同社はまた、米中貿易戦争を受け、一部の車載用モジュールなどの生産ラインを台湾に設置する計画で、今年末までの完工を予定している。投資額は79億1,000万元で、全生産能力の約10%を占める見通しだ。