茨城県は土浦市に、世界シェア9割を誇る有機ELディスプレーの材料を製造している工場がある。フルヤ金属の土浦工場だ。決して大きな企業ではない。何せ、年商214億円だ。なぜそんな企業が世界を席巻しているのか。今回、ダイヤモンド編集部は秘密を握る工場への“潜入”に成功。日本の素材メーカーの強みに迫った。
日本屈指の乗降客数を誇る東京・池袋駅から、JR山手線で2分。池袋駅に比べるとぐんと静かな大塚駅で降り、数分歩くとその会社の本社はある。
 フルヤ金属――。売上高わずか214億円。だが、有機ELディスプレーに必須の、とある材料の供給を一手に担う、知る人ぞ知る企業である。


そもそもイリジウムとは、「水兵リーベ僕の船……」でおなじみの周期表でいう「原子番号77」に当たるレアメタルで、調達からして難しい。しかも、融点は2454度と超高温。酸にもアルカリにも強く、金やプラチナなら溶ける王水(濃塩酸と濃硝酸を混ぜた液体)に入れても溶けることがない。
 フルヤ金属は、このイリジウムの精製、加工に約40年をささげてきた。実は、1968年の設立当時は、金やプラチナの地金の販売などを行う一貴金属企業にすぎなかった。しかし、貴金属業界のライバルには江戸時代に幕府の命を受けて金銀の改鋳事業を始めた徳力本店や、明治時代に両替商として創業した田中貴金属工業など、由緒正しき老舗企業が並んでいた。
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