経営再建中のジャパンディスプレイ(JDI)にいまだ暗雲が漂う。中国ファンド大手のハーベストグループのウィンストン・リー氏を代表とする中国企業連合と契約したものの、経営不振を脱する道筋は見えてこない。有機ELディスプレーで再起が図れるよう企業連合は着実に支援を実行してほしい。

 理由の一つはリー氏が記者会見という表舞台に出てこず、JDIに対する総額800億円の金融支援の実現性に今でも疑問符が付き続けているからだ。予定では10月にまず500億円を払い込むことになっている。

 さらに支援の前提条件として中国当局が不介入なことや、米アップルとみられる主要顧客からの資金確保や同社からの取引中止・縮小の通知有無など不安を増幅させる要因は数多くある。JDIの筆頭株主は政府系ファンドのINCJ(旧産業革新機構)であり、日本政府も一連の交渉で主体的に動いていた。



 政府関係者も中国企業連合の枠組みを信用しきれず、代替の資金調達案を今も検討中と聞く。リー氏やJDIは身内からも上がる不審の声に真摯(しんし)に向き合うべきだ。同社は単なる民間企業ではなく、公的資金を投入された“国策企業”という認識をしっかり持ってほしい。

 ただ、JDIの視界不良の根本的な原因は中国企業連合のせいではない。アップル依存度が売上高全体の6割と高い事業構造自体にある。主力のスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」が早ければ2020年に全機種で有機ELを採用すると言われており、液晶ディスプレー供給業者としては文字通り死活問題だ。

 JDIは本体からモバイル向け事業を切り離し、車載用ディスプレー専業で生き残る青写真を描く。しかし依存先がアップルから自動車メーカーに変わるだけにならないか懸念は残る。

 有機ELの技術力では世界最大手の韓国・サムスン電子に勝ると豪語する社員も少なくない。先立つものがなく量産に踏み切れないのは寂しい限りだが、残された数少ない成長の芽を大切にしてほしい。