壮大な経済政策を打ち出さなくても、個別の問題について適切に対処するだけで、日本経済は十分に成長できると述べた。個別に対処すべき課題の中でも特に影響が大きいのが企業の設備投資である。日本企業の設備投資は、極めて効率が悪く、これが全体の成長に深刻な影響を及ぼしている。設備投資の内容を精査するだけで、日本経済の状況は一変するはずだ。
設備投資を原動力に経済を成長させるためには、将来、生み出す収益が大きい設備に資金を投じ、投資効率を上げる必要がある。だが困ったことに、日本の場合、設備投資の中身に深刻な問題を抱えている。


日本は設備投資を積極果敢に行っているものの、その年の所得にしかなっておらず、将来の収益につながっていない。つまり日本の設備投資は有効に活用されていないのだ。これはマクロ的なデータなので、個別企業の様子を示したものではないが、具体的なケースは容易に想像できる。最初に頭に浮かぶのはシャープのような事例だろう。
シャープはもともと、家電を得意とする消費者向けの電機メーカーだったが、本格的に液晶デバイス事業への転換を図り、液晶関連の生産ラインを大幅に拡大した。ところが、液晶の価格破壊が一気に進んだことから、同社は巨額の設備投資負担に耐えられなくなり、巨額赤字を連続して計上。2015年3月期には累積の損失が1兆円近くに達し、経営危機に陥った。
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