経営再建中の液晶大手ジャパンディスプレイ(JDI)を巡り、再建支援連合「Suwaインベストメントホールディングス」は30日、今後2週間以内に新しい投資計画が決まる見通しを明らかにした。国内外5社から、最大800億円を調達するのが骨子だという。Suwaの許庭禎(ジェフ・シュー)最高執行責任者(COO)がダイヤモンド編集部の取材に答えた。

 SuwaはJDIが今春発表した、台湾・中国企業3社による最大800億円の金融支援の取りまとめ役だった。ところが6月に台湾企業の宸鴻光電科技(TPK)ら2社が離脱、9月には最大の出資者だった中国嘉実基金管理(ハーベスト・ファンド・マネジメント)グループが支援を見送り、当初の支援案は実行不能に終わった。

 許氏が新たに明らかにしたのは、当初の支援案に代替する計画だ。ハーベストやTPKに代わって、国内外の事業会社や投資会社5社からSuwaが投資・融資を受け、それをJDIに出資するという内容だ。5社からの調達額は最大800億円を見込む。



 許氏は投融資する企業の詳細は明らかにしなかったが、ダイヤモンド編集部の取材によると、新しい支援連合の枠組みには米アップル、受託製造サービス(EMS)大手の台湾ウィストロン、投資ファンドの香港オアシス・マネジメントが含まれる。これら3社が合計最大4億3000万ドル(約460億円)の支援を固めていることが判明している。

 許氏によるとSuwaは現在、国内外の投資会社2社と出資交渉を行っており、その交渉が今後2週間で決着する見通し。ただ交渉次第では総額600億円程度と、予定より200億円少ない水準に留まる可能性もある。

 今春の当初計画が実行不能に終わった経緯について許氏は、「TPKについては同社の事業戦略に合わないという事情で脱退した。ハーベストについてはすべてを理解しているわけではないが、今年に入って激化する米中貿易摩擦が影響したのではないか」と説明した。

 新しい投資計画についても、「一般論として投資は、キャッシュが振り込まれる瞬間まで何が起こるか分からない」と述べ実行確実性について明言を避けた。その上で「JDIに投資価値があるという点には強い確信を持っている。仮に今回の投資家と合意に至れない場合でも、さらに次の投資家を連れてくる」という意向を示している。

 SuwaはJDIに対してすでに5人程度のスタッフを派遣し、取引先に対する日常的な支払い状況など、資金繰りをめぐる詳細を把握している。こういった資金繰り把握に基づき、今回の投資額を決めているという。

 実際の出資は、JDIが早期に開く臨時株主総会の決議を経て行われる見通し。JDIは6月末時点で700億円超の債務超過に陥っており、Suwaによる最大800億円の出資は、足元の財務危機に対してある程度の効果を発揮する。ただJDIが本格的に経営再建するには、追加出資などによるさらなる財務改善と、成長を取り戻すための抜本的な事業計画が不可欠だ。こういった再成長施策について、許氏は「非常にユニークなアイデアを温めている」と述べるにとどまった。