液晶パネル大手、群創光電(イノラックス)が1日発表した第3四半期の税引き前損失は34億5,500万台湾元(約123億円)と、4四半期連続での赤字となった。同業の友達光電(AUO)、韓国・LGディスプレイ(LGD)は、第3四半期が3四半期連続の赤字だった他、中国・京東方科技集団(BOEテクノロジーグループ)も赤字に転落しており、大手4社の同期の赤字額は台湾元換算で合計約230億元と、生産過剰によるパネル価格下落、コスト割れの厳しい実情を反映した。4日付蘋果日報などが報じた。

イノラックス第3四半期の営業損失は48億5,200万元だった。1~9月の税引き前損失は98億5,200万元だった。営業損失は128億100万元だった。

 AUOの第3四半期純損失は39億8,700万元で、前期の26億8,200万元より拡大した。1~9月は103億5,700万元だった。

 台湾大手2社の1~9月赤字額は合計200億元以上と、過去7年で最悪の水準となる見通しだ。

 LGDの第3四半期純損失は4,429億ウォン(約411億円)だった。

 BOEの第3四半期純損失(非経常性収益を除く)は8億4,000万人民元(約129億円)と、赤字に転落した。業績発表では、年初来の政府から補助金総額が14億3,300万人民元に達していることが明らかになった。



 証券会社は、サムスンディスプレイ(SDC)も、近く発表する第3四半期業績で赤字転落するとの見方を示した。

 パネル業界は生産過剰が深刻で、テレビ用パネル価格が軒並み生産コストを下回る状況が続いており、各社の赤字幅が拡大している。

 大型液晶パネル世界首位のBOEによる第10.5世代工場での生産拡大で、テレビ用パネル価格は年初来30%下落した。65インチパネル価格は昨年の約240~250米ドルから160米ドルへと下落し、生産コストを下回った。情報技術(IT)製品用と携帯電話用の下落幅は10%を超えた。

 市場調査会社、ウィッツビュー・テクノロジーは、需給バランス改善と価格安定のため、中台韓のパネルメーカーは、9月から軒並みテレビ用パネルの大規模な減産措置に出ていると説明した。

 ウィッツビューの范博毓研究協理は、韓国メーカーは減産のみならず、TFT液晶からの段階的撤退も視野にあり、経営リソースを有機EL(OLED)パネルや量子ドットディスプレイ(QLED)に投入していると指摘。有機EL分野で技術的に後れる台湾メーカーは、ニッチ製品に注力する以外にないと分析した。

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