シャープがテレビ向け大型液晶パネルを生産する堺工場(堺市)の運営会社の子会社化を当面見送る方針を固めたことが分かった。戴正呉会長兼社長が子会社化に意欲を示していたが、液晶テレビの販売減で運営会社の事業環境が悪化したため、現時点ではリスクが大きいと判断した。

子会社化を目指していたのは堺ディスプレイプロダクト(SDP)で、運営する堺工場はシャープが約4000億円を投じて2009年に完成した。当時世界最大のガラス基板を扱う液晶パネル工場だったが、工場に見合う販路の拡大に失敗。本体から切り離し、持ち分法適用会社とした。



シャープを16年に傘下に収めた鴻海精密工業出身の戴氏は7月に「可能なら(SDPを)シャープが取り戻したい」と表明。シャープとSDPの持つ技術の融合を深める考えを示していた。
 戴氏はシャープの代表取締役だった高山俊明氏をSDPのトップに置き、コスト削減など経営の改善を進めてきたが、苦戦が続いている。
 みずほ証券の中根康夫シニアアナリストは「中国勢の台頭で液晶パネルの供給が増えている中、あえて堺工場を子会社化するメリットが生じないと判断したのだろう」と指摘した。

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