パナソニックはこのほど、2021年をめどに液晶パネル(LCD)の生産を終了すると発表した。今後はB2B(企業間取引)ビジネスに注力し、世界規模で車載分野と産業分野のデバイス事業を拡大する計画だという。ここ数年、液晶パネル市場は供給が過剰で、価格がじわじわと低下していた。今年第3四半期には、超大型液晶パネルの出荷量のシェア増加率が最も目を引き、生産能力では中国メーカーが半分を占め、生産能力の局面が再構築されつつある。広州日報が伝えた。

業界関係者は、「未来のグローバル液晶パネル産業の局面から見ると、中国のパネルメーカが主導的地位を占めることが見込まれる。しかしながら、外資系ブランドが先端製造業や川上の重要部品などの分野で引き続き明らかな優位性を備えていることはしっかりと認識しなければならない」と述べた。

パナソニックは21日、「21年をめどに液晶パネル製造事業から撤退する」と発表した。具体的には、21年に兵庫県姫路市にある傘下のパナソニック液晶ディスプレー(PLD)の液晶パネル生産を終了する。終了後はB2Bビジネスに注力し、世界規模で車載分野と産業分野のデバイス事業を拡大する計画で、特に車載CASE、情報通信、スマート化などに重点を置くという。





■液晶パネルの激しいグローバル競争、中国メーカーのシェアが上昇し続ける
パナソニックは上述の生産終了の決定について、「激しい競争と液晶パネルをめぐるビジネス環境の変化に直面して、当社は様々な措置を取って市場の重点を移すとともに新製品を打ち出してきたが、これ以上のビジネス展開は持続不可能であり、継承も難しいと考え、生産終了を決めた」と説明した。
ここ数年、世界の液晶パネル市場は供給が過剰で、価格がじわじわと低下していた。日本企業や韓国企業を含む多くのメーカーが撤退するにつれ、中国メーカーが積極的にビジネス拡大に乗り出し、出荷量でも出荷面積でもシェアが上昇し続けるようになった。
調査会社の北京群智諮詢がまとめた研究データでは、今年第1-3四半期のテレビ用液晶パネルの出荷量と出荷面積のランキングで、京東方(BOE)が4090万枚と2170万平方メートルでどちらも1位になった。このほか、華星光電、中電熊猫、恵科、彩虹光電、シャープなどの企業も続々とランクインした。予測では、2020年以降、中国メーカーの生産能力が全体の50%以上を占めるという。
今、世界では多くの大手液晶パネルメーカーが相次いでこのビジネスから撤退し、その一方で中国メーカーのシェアが急速に上昇している。この現象に直面して、産業ウォッチャーの丁少将(ディン・シャオジアン)氏は、「これは主に内外の2つの要因がある。まず外部の環境として、中国メーカーが液晶パネル技術を確立するようになってから、中国のコスト面の優位性により価格が低下を続け、市場競争において、中国以外のメーカー・ブランドの競争上の優位性が大いに低下したということがある。次に内部をみると、パナソニックブランド自身もモデル転換・バージョンアップを進めており、新材料、エネルギーなどより重要な川上の部品や戦略的新興産業の分野に移転しつつあるということがある。これはハイテク産業の自然な産業移転の流れだ」との見方を示した。

■テレビメーカーが相次いで注力するのは、高級化する大型テレビ
今年に入ってから、大手テレビメーカーが相次いで高級化した大型テレビに注力するようになった。奥維雲網(AVC)のまとめたデータによると、今年第3四半期には中国テレビ市場の平均販売サイズが50インチを急速に突破し、50インチ以下の販売量はオンラインで前年同期比5.5%、オフラインで同7.1%、それぞれ減少した。その一方で、65インチ以上はオンラインが5.2%、オフラインが7.3%、それぞれ増加して、大型液晶パネルの出荷量の著しい増加にもつながった。
群智諮詢の研究データでは、今年第3四半期には世界のテレビ用液晶パネルの出荷量が7176万枚に達して前期比2.7%増加し、前年同期比4.1%減少した。出荷面積は約4106万平方メートルで、前期比6.8%増加、前年同期比2.4%増加した。注目すべきは、同期の65インチ製品の出荷量は562万枚で同33.1%増加し、世界シェアが1.6%増加したことだ。
だが一方で、テレビの平均価格が低下を続け、ここから川上の液晶パネルの供給過剰ぶりや価格の持続的低迷がうかがえる。価格低下がもたらす損失のプレッシャーに直面して、メーカーは第3四半期末から生産量や生産能力を主体的に調整しており、液晶の生産能力を加速的に推進して、有機ELディスプレーの生産へとコマを進めるメーカーも多い。

■分析:外資ブランドは川上の重要部品分野で引き続き優位性をもつ
前出の丁氏は、「川上から眺めると、一方で液晶パネルの産業ラインは生産能力を大幅に削減しており、末端の市場価格の上昇を後押しすることになる。また一方で一部の液晶パネルメーカーは技術のウェイトが低いビジネスをやめて、ハイテクの方向へバージョンアップし、製品技術の価格交渉力を向上させ、端末市場全体を高度化の方向へ発展させようとしている」と分析した。
また丁氏は、「未来のグローバル液晶パネル産業の局面から考えて、中国のメーカーは主導的地位を占めるようになると見込まれる。現在、これまでの『チップがなくパネルがない』状況は大きく改善されてはいるが、外資ブランドが引き続き先端製造業や川上の重要部品などの分野で明らかに優位性を備えているということを冷静に認識しなければならない。現在、パナソニックなどの外資ブランドの多くが先端技術分野で依然として強い競争力をもち、牽引力を発揮できる新技術により多くの勢力を注ぎ込むようになった。たとえば有機ELディスプレーなどの重要技術は今なお少数の外資ブランドの手に握られている」と指摘した。

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