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11月、韓国最大企業であるサムスン電子で韓国労働組合総連盟(韓国労総)に所属する労働組合が正式に発足した。同社で労働組合のナショナルセンターに所属する労働組合が結成されたのは初めて。新規に結成された労組関係者は、すでに「権利を奪還する」と意気込みを示している。
韓国の大手財閥企業の中でも、サムスン電子は長い間「無労組経営」を続けてきた。サムスン電子は常に成長が目指される経営風土を確立し、実際に業績の拡大と賃金の増加を実現することで、労使の利害衝突が表面化しないよう取り組んできた。






本格的に労働組合が結成されると、経営陣はその要求を忖度(そんたく)せざるを得なくなる。サムスン電子がトップダウンで改革を進め、成長戦略を立案・執行することは難しくなるだろう。韓国では労働組合の影響力が極めて強いだけに、サムスン電子の経営風土は大きく変化しているとみるべきだ。
左派政治家の文在寅大統領の下、韓国の労働争議は勢いを増している。輸出の大幅な減少を受けて韓国企業全体の業績が悪化しているにもかかわらず、賃上げを求めてストライキの構えを示す労働組合は多い。加えて、米中の通商摩擦などの影響や、人工知能(AI)の実用化などとともに世界経済の変化のスピードが加速化している。

図解サムスンの経営戦略早わかり 1時間でわかる [ 李相勲 ]
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