三星ダイヤモンド工業(大阪府摂津市)は、折り畳み可能なフォルダブルスマートフォン向けに適した超薄板ガラス加工装置を開発した。切断加工時に生じる微細なひび割れを極限まで減らすことで、ガラスの曲げ強度を高水準に維持できる。現在のフォルダブルスマホはフィルム基板が一般的だが、同技術を生かせばガラス基板の採用も見込める。中国や韓国のディスプレーメーカーなどに提案し、2020年度に売上高8億円を目指す。

新構造の加工用カッター「ソリッド―D」を開発し、装置を実現した。厚さ約50マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の超薄板ガラスでも、切断加工後の曲げ強度を1ギガパスカル(ギガは10億)程度に維持できる。





 ホイールカッターを使う既存工法に比べ、10倍以上の曲げ強度という。現在、ホイールカッターに代わる工法としてレーザー加工が注目されてきたが、ソリッド―Dはそれをさらに上回る。

 18年末以降、中国・韓国メーカー各社は有機EL技術によるフォルダブルスマホを相次ぎ発売した。それらは現在、小さい曲げ半径に対応するためフィルム基板が採用されている。それがガラス基板に置き換われば、視認性や手触り感などが良いハイエンド製品も発売できるようになる。

 一部のフォルダブルスマホは当初、不具合が多発し実用性を疑問視する声もあったが、耐久性などの技術的な課題は少しずつ解決されつつある。今後は、フォルダブルディスプレーの市場拡大が期待されている。

 三星ダイヤモンド工業は、ロール・ツー・ロール型の加工装置もラインアップすることで、中国や台湾のカバーガラスメーカーなどにも提案する方針だ。