中国の武漢市を中心に発生した新型コロナウイルスが感染拡大を続けるなか、台湾の鴻海(Foxconnグループの中核となる企業)ほかアップルの主要サプライヤーが、10日から中国での本格的な生産を再開する模様です。

Bloombergは、Foxconnグループの中でも米国企業にとって主要なサプライヤーとなる鴻海が、10日に中国全土の生産施設を予定通りに再稼働できる見通しだと報じました。 一方、台湾のQuantaやInventec、韓国LGディスプレイといった一連のアップルサプライヤーも、来週には中国での操業を再開すると伝えられています。

Bloombergはこれが企業のみならず中国当局の意向であるとしつつ、その一方でコロナウイルスによる死者が増加し、地方自治体の封鎖が続いて輸送が混乱しているなかで、操業が再開できるのか疑念が高まっているとも指摘しています。ちなみに5日時点での最新情報では、中国での感染拡大に伴う死者は490人と報道されています。





事実上、世界中に出荷されるiPhoneの大半は、河南省鄭州市にあるFoxconnの工場と、上海近郊にあるPegatronの工場で生産されています。 これらの都市はコロナウィルスの震源地である武漢市から500km以上離れてはいるものの、全世界に感染が拡大している状況では距離は必ずしも防壁とはなり得ません。特にFoxconn工場閉鎖が延長された場合、iPhoneの生産と出荷に「大きな」影響が出るとの予測もありました。

さらにGF証券アナリストは「主な変数は、政府が生産再開の時期を遅らせるかどうかであるが、帰国した出稼ぎ労働者を輸送を手配する複雑さを考えると、それ(生産再開を遅らせないこと)は極めて考えにくい」と述べており、合わせて潜在的な労働力不足がサプライヤーの心に重くのしかかる問題だとも指摘しています。

先日もFoxconnは旧正月休みで台湾に帰国した労働者に武漢工場へ戻らないよう命じたと報じられていましたが、逆に新型肺炎の死者が増えている中国にどうやって戻ってこさせるのか、心理的にも物理的にも困難が予想されます。

アップルは9日まで中国全土のオフィス、店舗およびコンタクトセンターを閉鎖すると発表しましたが、10日以降の予定については言及していません。Bloombergは新型の低価格iPhone、いわゆるiPhone SE2(仮)が2月に量産開始されるとの噂を再確認しており、生産や出荷に不安が生じる可能性を示唆しています。

とはいえ、日本のホンダもまさに武漢市の工場での生産を14日から再開するとの声明を発表しています。すでに中国の現地では、なんらかの対策が見いだされているのかもしれません。