IHS Markit主催の「第38回ディスプレイ産業フォーラム」で、FPD設備投資と製造技術調査担当シニアディレクタのCharles Annis氏は、恒例の「ディスプレイ産業主要指標の景気予報」を示し、業界の各カテゴリ別の景気動向の予測を行った。
IHS Markitの韓国大型パネル調査担当シニアディレクタのChung YoonSung氏は、Samsung Displayの第8.5世代ライン(L8-1およびL8-2、ちなみにこの製造棟では、かつてソニーとSamsungの大型テレビ用LCDパネル製造合弁会社S-LCDがソニー向けテレビ用パネルを製造していた)の液晶からQD-OLEDへの生産転換のシナリオを3段階で進むものと予測している。
3段階に分けて転換を進めていくのは、QD-OLEDがまだ開発途上の技術であり、製造プロセスも最終的に固まっていない模様で、そのため開発や量産が成功するかどうかが未知数であるためとった手法と考えられる。QD-OLEDについては、業界内からは否定的な見方もあるが、中国勢の猛追で技術優位性を出せなくなりつつあるSamsungは不退転の覚悟で社運をかけた技術として成功させるべく必死になっているという。






Annis氏によると、QD-OLEDの量産に向けた製造装置の選定は、2019年12月半ばから始まっており、すでに発注も段階的に始まっている。6~7月には装置搬入を開始し、下期には試作を開始、2021年上期には量産を開始するスピード感のある計画のようだ。
製造工程の心臓部ともいえるQDのインクジェット印刷装置は、予想されていた米国製ではなく、Samsungグループ(100%子会社)のSEMES(セメス)に対して5台ほど発注が行われたという。SEMESを選んだのは、(1)韓国政府の素材・部品・装備国産化計画に沿うため、(2)製造上の秘密をグループ内にとどめるため、(3)グループ内からほかの装置も含めて調達し低コスト化を図るため、といった理由によるとみられている。
著者が韓国の製造装置業界に詳しい関係者筋から得た情報では、SEMESが複数の工程の装置を一括受注したほか、発注先にはFNS TECH、ICD、K-MAC、CHARM ENGINEERING、RORZE SYSTEMS(日本のローツェの韓国子会社。同社の受注の詳細については既報の通り)などが含まれているという。政府の素材・部品・装置の国産化計画に沿って韓国企業が主に選ばれた格好となっている。また、韓国内に工場・拠点を有する企業でなければ、Samsungが要求する短納期とコストダウン、そして細かい特殊仕様に向けた打ち合わせにこまめな応じることが難しいという事情もあるようだ。
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