経営再建中のジャパンディスプレイ(JDI)と最大1008億円の金融支援で最終契約したいちごアセットマネジメントのスコット・キャロン社長が日本経済新聞の単独インタビューに応じた。キャロン氏は「顧客価値、社会価値、株主価値を高める。株価は公募価格(2014年上場時の900円)を目指さなければならない」と述べた。JDIの菊岡稔社長も同席した。主なやり取りは次の通り。

――JDIへの支援を決めた経緯を教えてください。

キャロン氏「きっかけは産業創成アドバイザリー(東京・中央)の創業者、阿部敦氏の紹介だ。その後、JDIの顧客や協力会社の声を聞き、非常に高い評価を得ていると確認できた。製品の機能や品質、納期、共同開発における協力体制に対する信頼を得ており、再建の基盤は整っていると判断した」

――JDIの会長に就任する予定です。

キャロン氏「JDIには世の中を変える潜在的な力がある。再建は非常に大変だと思うが、深い意義がある。自主再建を重んじており、(いちごアセットから)取締役に入るのは私1人だけだ。(現在の筆頭株主で官民ファンドの)INCJ(旧産業革新機構)と相談しながら国民に対する責任を全うする。INCJからさらに支援を受けることは想定していない」





――これまでINCJに依存しすぎて企業統治(コーポレートガバナンス)が機能しなかったとの指摘もあります。

キャロン氏「技術だけでなく、ガバナンスの面でも世界トップを目指したい。社外取締役を増員する。テクノロジーに関する知識や経験なども重視しながら、タイミングをみて過半数に増やしたい」

――投資としての出口戦略(エグジット)をどう考えていますか。

キャロン氏「『永久株主』を目指し、(完全な)エグジットは考えていない。10年後にいちごアセットや私が残っていてもおかしくない」

――JDIの不適切会計に関する第三者委員会の調査が続いており、決算発表を延期しました。それでも出資を実行しますか。

キャロン氏「過去の問題は無視できないが、JDIの再建に対して深刻な影響はないと考えている。出資は確実に実行する」

菊岡氏「四半期報告書の提出期限を4月まで延期した。第三者委の調査に全面協力するとともに、期間内にできるように理解を求めていく」

――今後の事業戦略を教えてください。

菊岡氏「量より質を追いかける。顧客もそれを望んでいる。(事業化を進める)センサーはその一端だ。車載向けなどでセンサーと組み合わせた提案ができれば付加価値を高められる。すぐにはいかないが、単純な部品サプライヤーではなく、他社とも連携してソリューションを提供するビジネスを育成する」

キャロン氏「財務的に余力がないときに研究開発費を削ってきたので、その比率を増やしていく。イノベーション主導で収益性を高め、まずは100億円台の利益を稼げる企業になる」

――新型肺炎の感染拡大の影響は出ていますか。

菊岡氏「生産、部材調達、納期の面で影響が出ている。部材を変更する必要があれば早めに顧客の判断を仰ぐなど、生産体制の維持に全力を注いでいる。引き続き2020年3月期下半期の黒字化を目指すが、業績への影響は精査中だ」

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