2010年から日経ビジネスと提携関係にある中国メディア「財新週刊」。圧倒的な取材力で中国経済の深層を伝えてきた同誌2月24日号の巻頭特集は、新型コロナウイルス封じ込めのため全面停止状態という未曽有の困難に陥った中国企業や政府関係者の奮闘を余すことなく描いている。日経ビジネスは、今後中国同様の困難に直面することになる、日本の読者に向けて同特集を翻訳転載する。先んじて新型コロナウイルスの脅威に直面した中国。その時何が起き、人々はどう動いたのか。その詳細を知ることは今の我々にとって大いに参考になるはずだ。
10日間の春節休暇のはずがまさか44日もの間、足止めされることになるとは。湖南省株洲市に里帰りした富士康科技集団(フォックスコン)深圳工場の品質検査員、姚同さんにとっては思いも寄らないことだった。






 フォックスコンは電子機器の受託製造サービス(EMS)世界最大手、台湾鴻海(ホンハイ)精密工業傘下のメーカーである。広東省深圳市、河南省鄭州市などに生産拠点を構えており、ピーク時の従業員数は100万人を超える。だが、春節を目の前に新型コロナウイルスがまん延したため、ご多分に漏れず同社も操業停止を余儀なくされた。
 今や世界中のスマホのおよそ7割は中国製とされ、フォックスコンの鄭州拠点だけでも少なくとも世界の「iPhone」の4割を供給している。当然のことながら、サプライチェーンの停滞は連鎖反応を引き起こした。米アップルは2月半ば、サプライヤーの操業再開が思うほど進まず、今年第1四半期のスマホ端末販売に影響を及ぼすことと、中国本土の市場販売の低迷により第1四半期の売り上げ目標は未達となる見通しを示した。
Read ful article