TFT液晶パネルの価格が上昇に転じている。なかでも、これまで過去最低を更新し続けてきたテレビ用は、2019年11月を底値として上昇に転じ、最も汎用的なサイズである32インチは20年2月に前月比15%も値上がりした。19年はパネル価格の急激な値下がりで大半の液晶パネルメーカーが赤字に転落したが、このまま価格の上昇が続けば、メーカー各社の収益改善に大きく寄与しそうだ。
価格反転に最も大きく寄与しているのが、韓国の液晶パネルメーカーがテレビ用液晶パネルの生産能力を削減していることだ。中国の液晶パネルメーカーが生産能力を積極的に拡大し続け、これに伴って19年に価格が暴落したことで、韓国メーカーは液晶から有機ELへ事業の中心をシフトしつつあることが背景にある。






 韓国のLGディスプレー(LGD)の19年10~12月期の生産可能面積は、前四半期で18%減少し1060万㎡となった。これは韓国の第7.5世代(7.5G=1950×2200mm)のガラス基板を用いる「P7」ラインおよび8.5G(2200×2500mm)ガラス基板の「P8」ラインを縮小し、テレビ用液晶パネルの生産能力を削減したことによるもの。19年10~12月期時点で韓国8.5G工場はすでに稼働を停止しており、20年末までに韓国の他のテレビ用液晶パネルもすべて停止する予定だ。
 同じく、韓国のサムスンディスプレー(SDC)も生産能力の削減に動いている。削減幅は明らかにしていないが、テレビ用の新型有機ELパネル「QD-OLED」の量産を立ち上げるため、既存の液晶パネル生産ラインをQD-OLED用に衣替えしつつある。
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