韓国サムスン電子が2020年後半、シャープから4年ぶりに液晶パネルの調達を再開する見通しとなった。中国勢の増産に伴う液晶の単価下落を受け、サムスンは年末までに自社生産から撤退する方針を決めている。市況悪化が2社の関係改善を後押しした。

業界関係者によると、シャープは液晶パネル工場運営会社である堺ディスプレイプロダクト(SDP、堺市)で生産したパネルをサムスンに供給する見込みだ。数量は100万枚弱となるもよう。サムスンとシャープの広報担当者はともに「個別の案件については回答できない」としている。

もともとSDPは、サムスン向けに液晶を大量供給していた。だが16年末にシャープと親会社である鴻海(ホンハイ)精密工業がサムスンにパネルの取引中断を伝達し、関係が冷え込んだ経緯がある。





サムスンはすでにパネルの外部調達を進めている。19年の液晶テレビ出荷量の約4000万台のうち、自社製パネルは3割程度にとどまる。20年はこれまでの中台勢からの調達にシャープも加わる格好だ。

今回の取引再開の背景には、液晶を巡る勢力図の変化がある。設備投資を進めた中国勢の大量生産を受けて需給バランスが崩れ、19年のテレビ用パネルの価格は前年比3~4割下落した。サムスンは「液晶パネルで付加価値を追求するのは難しい」(幹部)として撤退を決めた。

SDPの19年12月期は196億円の最終赤字だった。サムスン向けの出荷が本格化すれば、採算改善につながる可能性もある。

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