BOE 220738サムスンディスプレーとLGディスプレーは年末から液晶パネル(LCD)から撤収するための構造調整の真っ最中だ。BOEをはじめとする中国の液晶パネルメーカーが低価格物量攻勢を掲げて主導した「チキンゲーム」に完敗したためだ。韓国企業が撤収する液晶パネル市場では特にBOEが生産量と技術力で名実ともに1位に浮上した。そんなBOEが最近積極的な投資で韓国企業の次世代収益源である有機EL市場まで狙い始めた。

「液晶パネル投資は中断し有機ELとミニLED、マイクロLEDにもっと多くの投資をする」。BOEの陳炎順最高経営責任者(CEO)が昨年末に中国メディアとのインタビューでした話だ。BOEの次の目標がどこなのか明確にしたのだ。BOEは実際に最近英文社名(Beijing Orient Electronics・北京東方電子)の頭文字を取って「地球上で最高(Best On Earth)」というスローガンを掲げた。次世代ディスプレー市場で王座を狙うという考えを公然と示しているのだ。





BOEが「地球上で最高」のスローガンを達成するための戦略は「アゲインLCD」だ。このため韓国の人材引き抜きもはばからない。最近ではある韓国のリクルートサイトに「65インチ大型有機ELパネル10年以上の経験者を求める」という採用公告を出したりもした。ディスプレー業界関係者は「現在BOEに勤める韓国系核心人材だけで100人を超えると承知している」とした。BOEが中国・重慶で増設中のフレキシブル有機EL生産ラインプロジェクト(B12)を主導する核心人材も韓国企業出身だ。

BOEは「B12」生産ラインに必要な第6世代有機EL装備の発注もすでに始めた。BOEは重慶のほか成都と綿陽などにも有機EL工場を増設した。また、福州に4番目のフレキシブル有機EL工場である「B15」を近く着工する。業界関係者は「B15が完工すればBOEがサムスンディスプレーを抜き世界最大のフレキシブル有機EL生産能力を備えることになるだろう」と予想した。

BOEは次世代ディスプレー技術力もある程度確保した。まずファーウェイが発売した折りたたみスマホの「メイトX」に搭載したフレキシブルディスプレーがBOEの製品だ。またBOEは最近「クアルコムと戦略的提携を結びクアルコムの指紋センサーを搭載した有機ELを生産する」と明らかにした。また、台湾のIT専門メディアのデジタイムズは「BOEがアップルのiPhoneに有機ELディスプレーを供給する可能性がある」と報道した。実際にBOEは綿陽にあるB11工場にアップル専用の有機ELモジュールラインを建設中であることがわかった。

最近ではサムスン電子がBOEの有機EL搭載を検討しているという話まで出ている。市場調査会社のDSCCは最近の報告書で「サムスン電子がBOEとギャラクシーS21(仮称)にBOEの6.67インチフレキシブル有機ELパネルを搭載する案を議論している」と明らかにした。DSCCは「BOEが最近フレキシブル有機ELパネルの歩留まりを大きく改善し魅力的な低価格政策を展開しているとみられる」と分析した。

事実BOEの急成長の背景には韓国が隠れている。1993年に設立したBOEは2002年に現代ハイニックス(現SKハイニックス)のTFT-LCDパネル子会社のハイディスを4500億ウォンで買収し技術力が急成長した。ハイディス買収後300人を超えるエンジニアを投じて核心技術を学んだ。日本企業と合弁でテレビ用ブラウン管を作り7年連続赤字で破産の危機に陥ったBOEがハイディス買収後急成長した背景だ。ディスプレー業界関係者は「ハイディス買収過程に『技術崛起』を狙う中国政府が莫大な補助金を支援したというのは公然の秘密」と話す。

BOEは独自の技術開発にも積極的だ。世界知的所有権機関(WIPO)が発表した「2019年国際特許出願報告書」によると、BOEは企業別の特許出願順位で6位を記録した。1位が中国のファーウェイ、2位は日本の三菱電機だ。サムスン電子とクアルコムはそれぞれ3位と4位だ。これと関連し陳炎順CEOは昨年末に開かれたBOEグローバル革新パートナー大会で「BOEはすでにディスプレー技術力で世界市場を先導する位置に上がった。今後10~15年でBOEが年間売り上げ1000億元(約1兆5133億円)企業から1000億ドル(約10兆6895億円)企業になる」と話した。

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