BOE -405d-a462-5c8257fbfdb4(ケース1)液晶ディスプレー(LCD)で韓国を抜き、世界首位に浮上した中国最大のディスプレー企業、京東方科技集団(BOEテクノロジーグループ)は最近、クアルコムの指紋センサーを採用した有機発光ダイオード(OLED)ディスプレーを生産すると発表した。まだ道のりは遠いが、BOEはOLEDでも韓国に追い付き、そこに搭載される全てのセンサーも自給することを目標に掲げている。

 その中心には中国政府の大規模な支援を受けている子会社、北京京東方伝感器がある。既にBOEの液晶パネルに使われるセンサーの大部分を納入しており、OLED関連技術の準備を急いでいる。中国版の素材・部品・設備育成戦略である「工業強基」事業「一条竜」プロジェクトの模範育成対象に昨年指定された。  

(ケース2)米中対立の長期化を受け、中国では最近、聚光科技という半導体検査設備業者が頭角を現している。先端設備の供給が途絶える懸念が高まり、同社が保有している気体レーザーなどを活用した検測設備を半導体生産に活用することを目指している。





 米中の技術覇権争いの背景となった中国の産業政策「中国製造2025」。部品、中間財の70-80%を独自に生産、供給し、2035年には先進国(日本、ドイツ)を抜き、中国が製造業大国から製造業強国の座に就くという野心に満ちた計画だ。

 「中国製造2025」のうち、重要課題とされる半導体の自立はよく知られているが、5大重点事業に含まれている「工業強基」に対する理解は不十分だ。工業の基礎的な力を強化するという工業強基は、簡単に言えば中国版の素材・部品・設備育成戦略だ。

 中国の素材・部品・設備分野での野心は15年5月に「中国製造2025」が発表される以前の13年から本格化した。中国工業情報省は当時、「工業強基専門プロジェクト行動展開に関する通知」を発表し、▲重要基礎素材▲重要基礎部品▲先進基礎工程▲産業技術基礎--という「4つの基礎」で中核企業を育成する企業の選別を進めた。工業強基プロジェクトは政府に代わり、国家製造業革新センターが司令塔の役割を果たしている。

政府の補助金で国産設備の使用を促すことも代表的な工業強基事業だ。実際に「中国機械設備産業の故郷」と呼ばれる遼寧省の企業が初めて国産化して普及を行う際、政府資金の支援を受けた先端機械設備は昨年、20社の70件に達し、15年の5社、15件に比べ急増した。遼寧省だけでも補助金規模が同じ期間に2274万元(約3億4000万円)から1億6000万元に膨らんだ。

 竜仁大中国学科のパク・スンチャン教授(中国経営研究所長)は「韓国政府が2019年、日本による輸出規制をきっかけに素材・部品・設備企業を本格的に育成し始めたとすれば、中国は2013年から企業を競争させ、「できる企業」だけを集中的に支援し、既に一定の成果を出し始めている」と指摘した。北京京東方伝感器と聚光科技は、数年間にわたる中国政府による支援の結実だ。

 最近韓国をはじめ、中国までもが素材・部品・設備の強化に乗り出し、「元祖素材強国」日本は緊張している。最近政府全体として強い素材をどうすればより強くできるか検討を行ったという。経済産業省と文部科学省が共同作成した戦略報告書によると、日本政府は主な産業・技術革新部門で素材の重要性が高まり、後発国家の追撃が早まっていることを受け、革新戦略づくりが避けられないとみている。報告書は「日本の輸出産業で核心となる素材部門の取り組みが今後の経済の行方に大きな影響を及ぼす」と診断した。

 専門家は韓国政府による素材・部品・設備の育成方向について共感を示しながらも、その目標が「克日」に埋もれてはならないと指摘する。韓国技術取引社会のイ・ドックン首席副会長は「韓国の素材・部品・設備業界は日本の輸出規制をきっかけに成長の好機を迎えた。中国や日本のように「世界一の素材・部品・設備企業」を目指す差し迫った思いを抱く時期だ」と強調した。

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