韓国のLGディスプレーが発表した2020年4~6月期の業績は、売上高が前年同期比1%減の5.31兆ウォン、営業損益が5170億ウォンの赤字(前年同期は3690億ウォンの赤字)となり、赤字幅が拡大した。純損失も5040億ウォンとなり、6四半期連続で最終赤字だった。

 4~6月期の生産可能面積は前四半期比4%減の930万㎡に減少した。テレビ用液晶パネルの生産能力削減によるもので、これに伴い出荷面積も同4%減の670万㎡に減ったが、㎡あたりの平均売価(ASP)は前四半期の567ドルから654ドルへ大きく上昇した。テレビ用液晶パネルの価格が若干上昇に転じたことも寄与した。

 製品別の売上構成比は、テレビ用が前四半期の31%から23%に、モバイルその他が新型コロナウイルスに伴うスマートフォン用の減少で32%から25%へそれぞれ減少した一方で、ノート&タブレット用は20%から29%、モニター用は17%から23%へそれぞれ増加し、IT用の需要が伸びた。

 設備投資額は8830億ウォンだった。稼働が遅れていた中国広州8.5世代(8.5G=ガラスサイズ2200×2500mm)有機ELパネル新工場の出荷式を7月23日に開催し、ようやく稼働に至った。48/55/65/77インチのテレビ用有機ELパネルを量産する予定で、早急に月間6万枚のフル稼働まで高めていく考え。





 広州のテレビ用有機ELパネル新工場は、当初19年夏に稼働を開始する予定だったが、生産プロセスに不具合が生じたことなどで稼働が遅れ、これに新型コロナウイルスの影響が重なって、立ち上げエンジニアが中国に渡航できなくなり、2~3月にエンジニアを急遽派遣して立ち上げ作業を急いでいた。

 これにより韓国の坡州工場と広州工場で8.5G月間13万枚の生産能力を備えたことになり、フル稼働すれば年間1000万台以上のテレビ用有機ELパネルを出荷できる。広州工場は月間9万枚までの拡張も視野に入れている。

 ちなみに、20年はテレビ用有機ELパネルの出荷台数として400万~500万台を見込んでいる。かつては700万台を計画していたが、広州新工場の稼働遅れや新型コロナウイルスに伴う需要減少で、計画を下方修正していた。現在、有機ELテレビは、韓国のLGエレクトロニクス、中国のスカイワースやコンカ、ハイセンス、日本のソニーや東芝、パナソニックなど世界15社がラインアップしており、20年に入ってから米ビジオ、日本のシャープ、中国のシャオミーとファーウェイの4社が加わった。

7~9月期は、広州の有機EL新工場の稼働に加え、アップルのiPhone 20年モデル向けにフレキシブル有機ELパネルの出荷が本格化するため、大幅な業績改善を見込む。一方で、新型コロナの影響やスマホ需要の低迷によって多少の増減があると付け加えた。

 テレビ用液晶パネルの生産能力削減については、韓国での生産から撤退する方針は変更しないが、広州工場では生産を継続し、IPS液晶技術と酸化物TFT技術の競争力を引き続き高めていく方針を示した。

 フレキシブル有機ELパネルについて、坡州工場E6ラインに1.5万枚のフェーズ3ラインを導入する計画は「現在のところない」と述べ、増強の噂を否定した。一方で、独自のオンセルタッチ技術「TOE」については「技術と設備の準備は完了しており、一部顧客に提供している」と述べ、今後アップルにも提供できる可能性を匂わせた。

 フレキシブル有機ELパネルに関しては、車載以外での受注拡大が今後のカギになるとの見方を示した。現在、車載ディスプレー受注の約20%がフレキシブル有機ELパネルであり、アップルのスマホ用で下期偏重になる季節性を緩和するため、車載以外の用途を拡大する必要があると説明した。坡州工場はスマホ用の生産に特化しているが、亀尾工場では車載用に加え、ウエアラブル用、フォルダブルなどを生産していく予定で、「今後5年間の市場を様々な角度から分析している」と説明した。


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